Prefectural Peak Hunting 37: 中岳(九重連山)


久住山の頂上にて。雲海にぽっかりと浮かんで見えるのは阿蘇山、写真右端の遥か彼方にチラッと見えるのは普賢岳。

11月16日、凍える朝。5時くらいに目が覚めたものの寒くて寝袋から出られず、とはいえトイレには行きたく、どうしても我慢できなくなった6時にようやく起床。外に出てみるとかなりの数の車が来ており登山の準備をしている人たちが多くいました。隣の車のうしろにはテントが張ってあり(注:この駐車場はキャンプ禁止です)、出てきた人に「寒いですね~」なんて話しかけてみると「テント凍ってました」とのこと。本当に、かなり冷え込みました。支度を済ませて、出発したのは7時過ぎ。予定より30分ほど遅れましたが、快晴で最高の登山日和。ルートがややこしく、地図を見ながら回想してみます。

このとき取ったルートは、画像左端の牧ノ戸峠(少し切れていますが)から扇ヶ鼻分岐を星生(ほっしょう)山に向かい、久住分れから久住山に行き、そこから来た道を少しだけ戻り稲星(いなぼし)山へ。稲星山から中岳に向かい、天狗ヶ城を経て久住分れに戻り、そこから法華院(ほっけいん)温泉へ。法華院温泉に着いた時点でテント泊するか牧ノ戸峠に戻るか決めることにしていました。先に書いてしまうと、結果的に同じ日に牧ノ戸峠まで戻ることにし、ログとしてはこんな形になりました:

色が濃くなっているところが行き帰り同じルートを使ったところで、薄いところは往復で一度しか使っていないところです。グラフでガッツリ標高が下がっているところは法華院温泉に向かったところですね。さて、まずは星生山へ。この日はスーパームーンの翌日ということもあってか、明け方にもかかわらず月が綺麗に見えていました。


実物はもっとまん丸で大きく見えました。


雲ひとつない最高の秋晴れ!!

何組か登山客を追い越し、まずは最初の星生山への分岐点に到着。何故か看板も何もありませんが、道は分岐しており地図的にも間違いなくここで左に舵をとれば星生山に行くはずなので迷わず左へ。緩い傾斜を登っていくとすぐに頂上に到達しました。


画面中央の一番高いところが星生山の山頂。


山頂にて、左の奥のほうにチラッと見えている猫の耳のような特徴的な山は由布岳です。

ここには男性登山者が一名既に来ており、話を聞いてみると地元の方で毎年この時期になると九重連山で10個くらい山に登るのだとか。この日を通して感じたことですが、九重連山は縦走登山を気軽というか実に簡単に楽しめます。それくらいかなり多くの山々が連なっており、またそれぞれが非常に近い!こんなに気軽に縦走登山を楽しめる山域は今のところ経験したことがありません。

さて、星生山の次は久住山。以前はこの久住山が九重連山最高峰と思われていたようですが、今はその座を中岳に明け渡しています。中岳は九州本土の最高峰になるようで、九州全体の最高峰は屋久島の宮之浦岳ということになります。ここで少し補足説明を。ここで書いたように「くじゅう」の漢字には2種類あり、さらに山の北側には「九重(ここのえ)町」、南側には「久住(くじゅう)町」があります。山と高原地図の解説書によると:

もともとこの「くじゅう山」は宗教的に信仰の対象となった山で、山岳仏教の修験の場として栄えた。ふたつの寺があり、開山は延暦年間(約1,200年前)に伝教大師によるといわれている。ひとつは「九重山法華院白水寺」であり、もう一方は「久住山猪鹿狼(いから)寺」であった。(中略)現在、一般的には「九重(くじゅう)」を山群の総称として、また「久住(くじゅう)」を1,787mの主峰の山頂名と呼ぶことに落ち着いている。

とのこと。確かに、標高自体は中岳のほうが高いにしても、名称・形状・容姿から見ても久住山が九重連山の主峰というのは頷けます。星生山から一旦下って、避難小屋のある平地から登り返すとすぐに久住山の頂上です。


久住山頂上にて。


久住山から撮影、この写真のど真ん中にある山が九重連山最高峰・中岳。

久住山頂上にはまた別の男性が既におり、冒頭の写真はその方に久住山頂上で撮って頂きました。東京から来たらしい(これは翌日知ることになりますが)この方に話を聞いてみると、現在はセミリタイアしており有休消化中ということで、百名山を巡っているとのこと。どんな巡り合わせか(というより百名山を狙う人の流れとしては常套的な流れなのか)、翌日祖母山に登る際に同じ方にばったり会うことになります。

百名山巡りの場合この久住山で終わり(なんでしょうか)かもしれませんが、大分県の最高峰となると中岳。さらに先に進みます。中岳へのルートは複雑に分岐しており色々ありますが、せっかくなので近場の稲星山を経由していくことに。久住山から一旦下ってから登り返すことになりますが、下ったところから振り返ってみると久住山含む絶景が広がっていました。九重連山から見える山々を調べるにあたり、例の如くこちらのサイトにお世話になりました。


パノラマ写真、ブログの幅に制限があるのが残念。真ん中に見えているのは阿蘇山、右の山は今しがた登った久住山。


上のパノラマ写真で一番左に見えるのは翌日登る祖母山の稜線。画面中央少し右の一番高いところがおそらく祖母山。


パノラマ写真中央の阿蘇山から少し右にずれて、遠くに見えているのは普賢岳。

久住山から30分程度歩くと稲星山。山頂からの景色が予想通り素晴らしかったです。


標識と合わせて阿蘇山。雲海が見事すぎる。


振り返ると登ったばかりの久住山。


こちらは今から向かう中岳。

稲星山からガッツリ標高を下げて、登り返すと中岳。分岐が多すぎてこの辺の細かいコースタイムが地図に載っていませんが、約30分で着きました。


大分県の最高峰登頂!

中岳にはまたまた既に男性登山者が一名おり、そのあと大阪から来たという親子(母親+息子っぽい)?が登ってきました。このお母さんより「若いもんは甘いもん食べなさい」みたいなことを言われぷっちょなど飴を3つ頂く。大阪のお母さんは山の上でも甘いもんを配るのだろうか。中岳に登頂したことでとりあえずの目標は達成しましたが、この日の行程はまだまだ終わらない。というより、終わらせるにはもったいなさ過ぎる最高の天気で、次は天狗ヶ城という山に登り温泉を目指します。


これまたカッコいい形状の天狗ヶ城。登っている方々は「天狗」と呼んでいました。

天狗には一瞬で着きましたが、それよりも天狗から降りるときに左手に見えた御池が綺麗過ぎる。動画で紹介したいところですが(実際動画を撮っているので、今度YouTubeに動画を上げていくつかのブログに動画を追加しようと計画中)、太陽光が御池に反射しキラキラ光っていました。今回の方が規模はずいぶん小さくなりますが蔵王のお釜を思い出します。※2016/11/18追記※ 天狗から下っている途中、夫婦らしき男女の登山者とすれ違いました。前日は法華院温泉に泊まっていたということで話を伺ってみると、前日は霧で視界が非常に悪く、そしてこの日の朝は物凄い冷え込みで10cmくらいの霜柱もあったとか(寒すぎて山荘を出たのが8時半くらいになったらしいです)。そんな天気なので、テント泊の人は誰もいなかったとのこと。前日の予定を福岡の釈迦岳にして本当に大正解でした。

※2020.01.16追加

御池を横目に見ながら久住分れまで戻り、そこからは温泉へ。コースタイムでは1時間40分でしたが早い所温泉に入りたかったので飛ばして1時間で到着。山行中に温泉に入るのは福島の安達太良山以来ですが、法華院温泉はその場所と規模がすごい!!まさしく山の中にある温泉で、こんなにアプローチが良く最高の環境があるのか、と驚かされる。


法華院温泉。右に見える背の低い建物が温泉で、その奥が山小屋。
今回の俺のルートだと、写っている登山者らとは逆方向から来た形になります(奥から手前)。


上の看板の裏側(だったと思う)から撮った写真。


上の写真から左側を撮った写真。遠くにポツンと建物が見える辺りが坊ガツルという有名なキャンプ場。
雲取山に登った際に知り合った方にもお勧め頂いた場所です。


山荘入口。立派過ぎる。

ちょうど到着したばかりのおばちゃんに話しかけてみると、どうやら地元の方。凄く気さくな方で、色んな話を聞かせてもらえました。地図にも載っていますが、九重連山はミヤマキリシマで有名らしく、シーズン中に来るとものすごい綺麗だそうです。四季折々、いつ来ても楽しめるようで、今回の旅で行った中では5本の指に入る素晴らしい山域だと感じました。おばちゃん曰く「家の近所でホトトギスの鳴き声を聞くと、たまらなくここに来たくなる」とのこと。表現が詩的!!九重連山以外にも遠くは北海道から南アルプスまでかなり色んな山を巡っているようで、「鳳凰三山には絶対行った方がいい!」とお勧め頂きました。まさか九州の山で南アルプスの山を勧められるとは。実際、今回の旅には中央・南アルプスと八ヶ岳が含まれておらず、友人からは「山旅なのにそれら山域が含まれていないのはどうなのか」と指摘されたこともあります。八ヶ岳には今年の冬、南アルプスには来年の夏是非挑戦したい。

そんなおばちゃんにこの日テント泊をしたほうがいいかどうか訊いてみると、夜どの程度冷え込むか山荘の人に訊いてみたらどうか、とのアドバイス。時間的には泊まっても戻ってもどちらでもいいような時間で、実際かなり迷っていました。前日の車中泊がかなり寒く、おそらくこの辺も寒くなることを考えるとどちらかというと戻る方向に傾いておりました。山荘の方の情報によると天気は翌日以降下っていく方向ということで、おばちゃんに次は祖母山を目指すという話をしたところ「だったら間違いなく下山して祖母山に向かった方がいい!」という地元の方の的確なアドバイスを頂きましたので、この日は泊まらずに下山することにしました。

テント泊しようとテントをかついで登った四国の山でも結果的に日帰りになり、そして今回も結局下山する形になりました。今回の旅でテント泊を予定していた最後の山が九重連山だったので、これで今回の旅においてのテントの役目は終わりました。G-LIGHT X、お疲れ様でした!

さて、方針が決まったのでまずは温泉。一回500円と実にリーズナブル。このときは他に誰も入っている人がおらず、貸切状態!!温泉からの景色も独り占めです。

山荘の方の趣味なんでしょうが、休憩室に置いてあった漫画が渋すぎる・・・。


その時歴史が動いた。


人間交差点、豊臣秀吉、武田信玄、徳川家康、伊達政宗、織田信長、坂本竜馬・・・。

温泉に入ったあとは下山。来た道を戻り、星生山には往路で登ったので復路では巻き道を通り、駐車場に戻ったのは16時前。温泉に入った時間も入れて9時間の山旅となりました。九重連山には絶対にまた戻って来たい。

荷解きし、車の中で祖母山の地図を睨んでいると、窓にノックの音が。また警察か!?と身構えましたが、外には知らないおばちゃんが。色んなおばちゃんに遭遇する日です。窓を下げると、この後の予定を聞かれる。祖母山に行く予定だ、という話をしたところ、温泉に入るなら200円で入れる安いところがあるよ、というまる得情報をくれる。字が難しいんだけど「うけのくち温泉」といって北に10kmくらい行ったところ、とのこと。地図を広げてみると普通に載っている。本当に何の地図なのか。


筌の口、と書くらしい。

温泉以外にも、祖母山から近い道の駅情報(原尻の滝)や、由布岳に登る場合の安い温泉情報など色々と教えてくれました。そんなおばちゃんは百名山のうち残すところ光岳のみ!!今年中に、と考えていたそうですが、日帰りで行けるルートの車道?が崩落したかなにかで2016年中にはアクセスできないようになってしまったらしく、聖岳からだと時間がかかりすぎるので光岳は来年に持越しとのこと。百名山残り一座って人、今回の旅で結構見かけた気がします。

すでに法華院温泉に入ってはいましたが、せっかくなのでお勧め頂いた筌の口温泉へ。どうもまたガソリン難民になる気配があったので筌の口温泉すぐ近くの有人スタンドで給油しつつ、温泉の情報を聞いてみると、「あそこは200円なんだけど、ガソリンスタンド寄ってくれたし払わんでいいよ」とかなんとかめちゃくちゃ言っていました。温泉はすぐ近くで、もちろんちゃんと支払って入ってきました。茶褐色のかなり高温の温泉は完全に地元の方向けで、アウェイ感が半端なかったです(ロッカー代100円かかるのでトータル300円でした)。

筌の口温泉から祖母山付近の道の駅に行くには一旦来た道を戻って牧ノ戸峠を通過することになります。峠を通過して山道を下っていく道中、展望スポットがあったので寄ってみました。日が殆ど暮れたところで綺麗でしたが、すでにそこにいた方曰く「もう少し早く来ていればもっと綺麗だった」とのこと。温泉に寄っていなかったら通過が早すぎたし、温泉に寄ったら寄ったでマジックアワーに立ち会えず・・・。


それでも綺麗でしたが。

車に戻り、そのまま道の駅・原尻の滝へ。牧ノ戸峠での車中泊は凍えるかと思いましたが、平地の車中泊は全然寒くありませんでした・・・。

祖母山登山に続く→

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