10代後半、池袋の飲食店で働いていた時の話。大変お世話になった店長のモットーが「接客は愛。来たお客さんが彼氏/彼女/家族だと思えば最高のもてなしができる」だった。この方針の元、働いていた約2年間はその店長に徹底的に鍛えられた。
知り合った時、店長は別の店舗の副店長。異動して別の店舗の店長になった際「お前も来ないか?」って誘われた。忘れもしない、午前2時くらいのコール。6月だったと思う。
専門を卒業し、その店も卒業する際、その店長の元でそのまま働き続けるかカナダに移動するかで真剣に悩んだ。
今もたまに思う。
– あのまま日本に残った俺
– カナダに行き、数年経ってこうして日本にいる俺
どちらがより”デキる”人間なのだろうか、と。
こういう意味では、実は自分自身が最大のライバルだったりする。”あの時この選択肢をとってたら”っていうIFの自分に笑われないように、今も磨き続けないと、とよく思う。
もちろん別の選択肢を選んでいたら、今の俺が持っているものは持っていない。だから、比べるものではないけれど、少なくとも接客業、もてなしのスキルは”向こう側の俺”の方が上だと思う。
カナダから一時帰国していた時。店長と他のバイト仲間たち何人かと久々に飲んでいた夜、1人がグラスを倒すか何かして中の飲み物をこぼした。その時、別のスタッフが動いておしぼりとかを取りに行って事なきを得たんだけど、そのあと店長に言われた言葉は今でも忘れられない。
「以前なら、あの状況で率先して動くのはお前だった。今、お前は全く動かなかった。カナダ行ってヌルくなってんじゃないの?」
強烈な一撃。ワーホリでカナダに行って、やや惰性で生活してた自分が叩き起こされた気がした。
柏のスターバックスにいる今、ふとそんな事を思い出す。向こう側の俺は、きっと今も己を磨き続けている。
負けてはいられない。