前日落ちきったテンションでしたが、気になっていた天候は快晴で問題なし。体調も問題ないので、あとは自分の気分次第だな・・・と、5:45くらいに出発。相変わらず誰とも出会わないのですが、八経ヶ岳への登山口から来た道と奥駈道が交差する奥駈道出合というポイントを通過したあたりで、鈴の音が。気のせいかと思っていたら、少し前の方に男性の姿を発見!さらにもう一人現れ、少し会話をしたところ「奥駈道ですか!すごい、挑戦する人に初めて会った!」と感激される。
この人たちとはこの先の弥山、八経ヶ岳まで一緒で、人がいるとこれほどまでに心強いのだな、と痛感。人と接するというのは、単純に接するということ以外になにか目に見えないエネルギーを交換しているような、そんな気がします。また、弥山で別の方より「完走したら自信になるでしょう。普段の生活や仕事にもこの経験は生きてきますよ」とも言っていただき、萎れかけていた心に声援という水分が補給されていきました。冒頭で感激頂いた方から「明日は曇りで、明後日から天気が下り坂かも」という情報も受けましたが、電波のあった稜線上で調べてみると日曜までは曇りのち晴れ、というような予報で雨予報のサイトはない。頑張って下さい!と握手まで求めれた彼の後押しもあり、闘志に再び火がついた俺は先に進むことに。このまま先に進むということは、もう最後までやりきるしかなくなる。このとき決断した自分を、振り返ってみると褒めてあげたくなります。名前も伺いませんでしたが、お兄さん、俺はやり遂げましたよ!
八経ヶ岳から見た景色。この日の天気の良さも、先へ進んだ要因の一つ。
この先は危険な箇所はなかったのですが、五鈷峰(ごこのみね)あたりは鎖場があったり崩れた崖を通過したりと、慎重に進みました。
この先はスパッと切れた崖、落ちたら下まで転げ落ちます。奥の方の山の稜線が猫っぽい。
このままどんどん進み、孔雀岳の手前の「鳥の水」というほそーい水場で水を補給。翌4日目は水の補給が困難なので、4日目に水を補給するのは諦め鳥の水にて翌日の分を含め4.5L補給。ここからこの日の宿・深仙(じんせん)小屋までは2時間弱ですが、釈迦ヶ岳を登って下る必要があるので「キツいだろうなぁ」と思いながら重量を増したザックを背負う。水を補給させてもらった孔雀岳ですが、近くに孔雀ノ覗という展望スポットもあり、かなり癒されました。
そして正面には、この日の核心「釈迦ヶ岳」が聳え立つ。
釈迦ヶ岳へのアプローチ直前に椽の鼻(えんのはな)と呼ばれる場所があり、そこに昼食を食べるのにもってこいな椅子?があったので使わせて頂きました。この時点で13:50、遅めの昼食です。
そんな釈迦ヶ岳、思ったより登りはキツくなく楽しく登れました。事前情報として知ってはいましたが、実際に山頂でお釈迦様の像を見ると神々しさがすごい。
釈迦ヶ岳からの展望。左奥が八経ヶ岳、右手前が孔雀岳。よく歩いたもんです。
釈迦ヶ岳は登りより下りの方がキツく、まだかぁ~!と悪態付きながら下っていくと、突如ぽっかりとひらけた空間にお堂と小屋が現れました。あの空間をなんと説明してよいのやら分かりませんが、すごく心が落ち着く場所で、今回の山行の中で最も気に入った場所です。ここでは松尾芭蕉もあとを追った平安の歌人・西行が:
大峯の深仙と申す所にて、月を見て詠みける
深き山に すみける月を 見ざりせば
思ひでもなき わが身ならまし
– 西行
と残したそうですが、なにか歌に残したくなるような雰囲気は確実にあると思います。色んな角度で写真を撮ってきたのでいくつか載せておきます。
そこから視線を右にずらすと行場でもある大日岳が見えます。危険な鎖場らしく、今回は行きませんでした。
紀伊山地の山々から振り返ると、生い茂った木々から木漏れ日が。
小屋自体はかなりこじんまりとした小屋で、トイレもなく女性には厳しそうですが、個人的には非常に過ごしやすかったです。まさかのソーラー式USB充電器もあり、そしてLED電球も完備。あなどれません。
もう少し景色を眺めるか、と外へ出ようとしたら、お堂の前にお客さんが。
小屋でゆっくりしていたら夜も更けてきて、いつものように20時前に就寝。この夜は風がやたら強く、小屋がギシギシ揺れまくって翌日の天候がかなり心配でした。夜中にふと目が覚めて外に出てみた時は月が綺麗に見えていましたが、その月を囲うように雲も出ており、これは雨は降らないけど晴天もないかもなぁ、と感じつつ再び夢の中へ。
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