岩と雪と山の旅 DAY 5: 雲取山年越し編(後編)

2019年も残すところ15分───

前回のブログから引き続き、雲取山年越し編の後編です。残りわずかの2019年はあっという間に過ぎていき、ついにカウントダウンが始まりました。

そして───

2020年1月1日(水)

2020年突入!

あけましておめでとうございます。前年の丹沢山のみやま山荘と異なり、雲取山荘はこういった年越しイベントを積極的に開催しているので楽しい。

年明けの山荘前
ワイワイ賑やかな山荘前。

バディ!
今年もよろしく!

鬼寒い0時の山の上でしたが、周りは一様に新年ムードでした。時差の関係でいち早く新年を迎えたシドニーにいる母からは毎年恒例のオペラハウスでの花火写真が送られてきました。

所変わってここはシドニー

前年の丹沢では「2019年中に百名山80座を目指す」という目標を立て、結果的に達成できなかったものの76座とかなり迫ることができました。目標を立てたことからどこか意識していた部分もあり、また80座を目指すことに対しての裏テーマがこれまで攻めていなかった新潟と南アルプスの山々に行くことだったので、この意味では間違いなく目標がいい刺激になっていたと思います。今回立てた目標は「とにかく南アルプスの山々を攻めまくる」という、最終的にはあくまでも自分の中で「攻めきったか攻めきれなかったか」という自己判断をベースとした目標に設定しました。登る山の数を目標にすると後半に無理をしそうなうえに、自分の信念として山は登った数で競うべきではないと考えているので今年は数値目標を立てることはあえてやめました。とはいえ競うわけではなく純粋にたくさんの山、特にまだ未踏の山には積極的に登りたいので、今年も2019年以上に山に入りたい所存ではあります。

待ってろ南アルプス!2019年についに行けなかった北岳~間ノ岳~塩見岳の縦走を今年は必ず達成したい。

※※※

山荘の内外はどこもかしこもお祭り騒ぎです。が、ずっとお祭り騒ぎに巻き込まれているわけにもいきません。雲取山荘では元旦に餅つき大会を行っており、当初はこれに参加しつつ山荘の前から初日の出を見てもいいのではと考えていました。が、I氏が色々と調べた結果どうやら雲取山の頂上からの初日の出はかなりいいものらしく、この時点で既にこの日の朝(というより数時間後)は朝食後雲取山に登り返して初日の出を拝むと決めていたのでした。朝食は5時。間違いなく4時台には起きる必要があります。喧騒の中大部屋に戻り、数時間後の起床に備えて就寝。寝たのは1時前でした。元日も快晴予報だったので前年は見られなかった初日の出をばっちり拝めそうです。

───そして数時間後、起床。燕岳の際に朝一で行ったつもりが既に長蛇の列という事件があったので、それを踏まえて結構早めに食堂に行ったところまだ数人しかいませんでした(先頭は富山のおじさん)。4時45分くらいに並んだように記憶していますが定かではなく、もう少し早かったかもしれません。我々が並んだあたりからどんどん人が集まり始め、朝食の受付が開始される5時には最後尾が見えないくらいの長蛇の列。早めに並んでおいて正解です。夕食には蕎麦、朝食には餅が振舞われました。さすが雲取山荘です。

正月の朝食

朝食を即済ませて大部屋に戻ったところむしろ少し時間が余る。かなり眠かったので、30分くらい寝て5時45分に起きて出発することにし仮眠をとりました。そして5時45分…を少し過ぎた50分くらいにようやく二人とも動き出し、荷物をすべて背負って一階へ。初日の出を拝んだら山荘には戻らずそのまま下山です。既にかなり多くの人が出発の準備をしていました。外に出てみると地平線の彼方がほんのりとオレンジ色に染まっている。これは出遅れたか…!?と少し焦りましたが、日の出の時刻は6時40分過ぎ。山頂までは30分で着くので間に合うはずです。富士山かのごとく山頂に向かってヘッドライトの長蛇の列が出来ているのを見てげんなりします。6本爪をつけたりと準備を整え、ヘッドライトの列に加わったのは6時10分くらいでした。雲取山荘、お世話になりました。

行軍
後ろにも行列が。

行列でなければもう少し早く動けましたが、抜かそうにも登山道が狭くのんびりと進むしかありません。それでも6時35分くらいには雲取山の山頂に到着し、日の出に間に合いました。この時点で既に景色は最高です。

夜明け前
夜明け直前。

遠方には
遠方には富士山。

元旦の山頂
思った以上に人のいる元旦の雲取山頂上。

そして6時50分過ぎ。ついに雲の上に太陽が顔を出します。

きた...!

さらに待っていると…

初日の出...!

初日の出。

この上なく初日の出らしい、まさしくTHE 初日の出です。前年のリベンジを見事に果たしました。富士山も赤く染まって実に素晴らしい景色です。

元旦の富士山

場所を少し移動し、雲取山の山梨県側の頂上付近に移ります。この辺もまた眺めが最高で、標高は少し下がりますが正直景色はこっちからの方が良いと思います。

初日の出と富士

初日の出と富士山が一望できるというまさしく絶景!前年は曇りで一切見えなかった富士山が突然見えるという奇跡が起きましたが、今年は初日の出と富士山を同時に拝むことができるというこれはこれで実に幸先の良い元旦。

荘厳
富士山は存在感が違う。

あまりにも感動して動画も撮っていました。

初日の出を十二分に堪能したら、山頂直下の避難小屋付近に移動。下山開始前にコーヒーでも飲もうか…としたとき、事件が起きました。というより、事件が既に起きていました。I氏のザックの中に愛用のカップがない!思い返そうとしても、前日どこで最後に見たかすら思い出せない。俺のおぼろげな記憶では、紅白を見ていた食堂から年越し蕎麦を食べに外の自炊室に移動したあたりが怪しいと見ていますが、それも確証はありません。避難小屋から雲取山荘に戻る場合、往復1時間程度は見ておく必要があります。この日はI氏が16時までに実家に戻るというミッションもあり、下山に温泉や初詣を加味するとここで1時間をロスするのは少しまずい。かなり(無理やり)前向きに考えれば、あのカップがI氏の後厄の厄をすべて掬って目の前からいなくなったとも考えられる(のか?)かもしれません。

あーだこーだと書きましたが、ようするに探しに戻るのは諦めてそのまま下山することにしました。この旅でI氏は

  • スマホの画面がバキバキになる
  • カップが山小屋のどこかに消える
  • 洗顔フォームをどこかの銭湯に置いてくる

というようなことをやらかしており、これらも含めすべて厄年の影響なのかもしれません。

さて、下山です。来た道を戻るのではなく、このときは三条の湯という山の中にある温泉を経由して下山する予定でいました。この三条の湯はI氏が以前行ったことがありかねてから「めちゃくちゃいい」と高く評価していたので、前々から行ってみたいと思っていた温泉です。ネックは雲取山から三条の湯までがそもそも長いことに加えて、三条の湯から駐車場までもかなり長い!下山後に知ることになりますが、このときいた避難小屋からつけたログでも距離にして17km近くありました。下山だけとはいえ17kmは相当堪えます。

そんなに距離があるとは露知らず、下山を開始するふたり。最初だけ6本爪をつけた状態で歩き、途中でいらないと判断して外す。が、このあとは6本爪が必要かどうか非常に微妙な道が続きます。凍結したような道が続いたと思えば土が露出した道になったりと、着けた方がよさそうなエリアと着けると歩きづらくなりそうなエリアが交互に登場します。道中、「この先一瞬アイゼンがあったほうがいい道があるけど、君たちなら大丈夫」という「雨のち晴れるでしょう」みたいな”アイゼン予報”をしていくおじさんとすれ違い、実際かなりきわどい道がありましたがなんとかアイゼンなしで通過。おじさん曰く「滑る道には落ち葉を乗せれば少し歩きやすくなる」らしいですが…本当なのだろうか。

どんどん下山していったところ、明らかにコースから外れた方向に逸れてなおかつ急斜面を登っていく道が現れました。ログで示すと、赤線を右上から歩いてきて鋭角に飛び跳ねている箇所です。

巻道ログ

等高線をほぼ垂直に上がってそして垂直に下っています。どう考えても破線の道を進むのが正解ですが、どうやら正規ルート上で崩落やらがあったらしく巻道として山の上に一度登らないといけないという。もはや巻道ではない!とは思いますが、もちろん仕方がありません。これでコースタイムに対して15~20分くらいは追加でかかるように思います。

この先の道にも地面が崩落していて危ない場所などあり、登山道の維持メンテナンスはなかなか難しいものだというのを目の当たりにしながら歩いていくと、ようやく視界に三条の湯が入ってきました。避難小屋を出て2時間程度でようやく到着です。河原に建てられた立派な建物で、テント場も充実しており実にいい所です。

三条の湯、1

三条の湯、2

山の中にいきなり立派な建物が現れて驚きます。テント泊も小屋泊も出来、さらに温泉もある。もちろん自炊室もあるので、フラッと週末に遊びに来られるような気軽さがここにはあります。温泉に入らせてもらう前に、まずは自炊室で昼食(?)タイムです。昼食と言ってもまだ9時半でしたが…。

年明けうどん?

年越し蕎麦に対して年明けうどんなんてありあしたっけ…?と思いながらも諏訪のSEIYUで買ったこのうどん。まさしく食べるタイミングは年が明けたばかりのこのときでしょう。梅干の入った珍しいうどんでした。食後は適当にものを詰め込んでいたザックの中を整理し、そして待ちに待った温泉へ。源泉は冷たいようなので沸かしているということですが、場所と相まって実に気持ちいい!思えばこれが2020年初風呂でした。

温泉でさっぱりしたら、山小屋のご主人に初詣にお勧めの神社を聞き「奥多摩駅方面に向かうのであれば奥多摩駅前の奥氷川神社はどうか」と提案いただいたのでその案に乗ることにしました。

さて、三条の湯から登山口まではほぼ全行程林道歩きです。これが半端なく

長い。

いや本当に長い。大清水から尾瀬に至る林道もかなり長くて疲れましたが、ここはそれ以上に間違いなく長い。特にアップダウンもない道でとにかく長いので、話が多岐にわたります。ひとつ歩きながらトピックに挙げたのはここ最近考えていた所謂「仕事論」的なものですが、書き始めたら駄文が長くなったのでこのブログに含めるのは割愛しようと思います。考えがまとまればまたいずれ。

三条の湯から登山口まではコースタイムで2時間45分もかかりますが、ここを2時間弱で歩き切りました。アップダウンもない単純な林道歩きなのでぶっ飛ばせたように思いますが、それでもかなり疲れました。林道沿いの木に謎のサヤ?豆?種?が生えており、I氏と「これはいったいなんなんだろう」と二人で鬼固いサヤを割って中身を確認したりしました。

藤の種
上がサヤ、下が中に入っていた種。

I氏より「ブログ書くとき調べておいてください」と投げやりな依頼をされたので調べてみたところ、これは藤の種だったようです。これ以上の報告はありませんが、I氏に依頼されていたので念のため…。

さて、登山口に到着した我々です。

ダメダメ

もうマジでクタクタ!三条の湯まで10kmとか…。さて、ここからは車道沿いを駐車場に戻りますが結果的に距離は

2.5km。

思っていた以上に駐車場までが遠い。そしてこの2.5kmの行程には最後の最後にI氏をして「自分史上三大急登のひとつ」と言わしめるかなりの急坂が待っており、さらにその坂の周辺には

猿!猿!!猿!!!

猿だらけ。石でも投げてきそうな勢いで普通に怖い。というより民家もあるエリアなのにあの数の猿がいるというのはなんというか、社会問題になりそう。餌不足とかそういう問題なんでしょうか…。大量の猿を横目に最後の強烈な坂を登りきったらようやく駐車場に到着。避難小屋からの17km近い道のりがようやく終了しました。早朝出発した雲取山荘からであれば間違いなく17kmは超えていたように思われる。

ログ

このときは下山時しかつけていなかったので、今回登ったのと同じ道を歩いた以前の行程を同時に表示したログ。画像上部のグラフは避難小屋からの下山時のもののみですが16.8kmも歩いている。難しい箇所は皆無ですがとにかく長い、その一言に尽きる。登りは10.1km程度の行程なので、歩いた距離は二日間合わせて26.9km。雲取山から雲取山荘への往復が含まれていないので、トータル28km以上は歩いていると思われます。年末年始になにやってるのか。山登りです。

※※※

荷解きし、パッキングが済んだら早速初詣に向けて出発。三条の湯でお勧めいただいたとおり、向かうのは奥氷川神社です。到着した奥氷川神社は思ったよりもこじんまりとした印象の神社で、駐車場がない。散歩中?の近所のおばちゃんに「車で来る人は向かいの信用金庫に停めさせてもらう人が多いよ」という珍アドバイスをいただいたので他の人に倣って信用金庫に停めさせてもらうことにしました。

奥氷川神社

お正月だったからか普段からあるのか、紙垂(しで)が飾られていました。無人で少し寂れた印象すらある神社ですが、かなり歴史のある神社で無人とはいえ手入れされており綺麗な状態に保たれていました。騒がしい初詣よりも、こういった静かに参拝する初詣のほうが好みです。山好きとしては、奥多摩という場所に参拝したことにも意味があるようなないような…?神社脇にある三本杉が有名ということでしたが、この時点ではその情報がなく参拝したのみで車にリターン。また行くことがあればぜひ拝見したいと思います。

初詣も済んだところで、埼玉方面に向けて出発です。時間があれば温泉にもう一度行こうかとも考えていましたが、I氏を自宅に16時までに送り届けるというミッションがあったので温泉は断念して帰ることになりました。14時過ぎに近くのセブンに寄り(奥多摩古里店、改装前か閉業前で店内すっからかんでした)、青梅ICから高速に乗り一気に埼玉へ。無事16時までにI氏を送り届けることができました。下山がコースタイムどおりであれば間違いなく間に合っていなかったあたり、飛ばして歩いて正解だったかもしれません。

下道経由で自宅方面に向かい、近所のスーパーに16時40分くらいに到着。食材を買い込んで帰宅。湯河原から始まった長い旅もようやく終わりを迎えました。とにかく誰も怪我せずに終えられたことが本当に良かった。そして初日の出に加えて元旦から富士山を拝めて大満足です。

2020年はどんな一年になるのだろうか。いや、どんな一年にしていこうか。今から楽しみである。

岩と雪と山の旅 完

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