厳冬期登山編 PART V: 冬の安達太良山 後編

くろがね小屋で向かえる朝、初日に引き続き登山二日目です。起床は6時前後だったように思います。朝食は6時半。牛すじ煮込みが美味しい。

くろがね小屋の朝食

食後、外に出て天気を見てみるとこの日も絶好調の快晴!天気と体調と気分次第でそのまま下山するかもう一度山頂に立ってから下山するか検討しようと思っていましたが、この天気を見れば自分の中では再登頂という選択肢のみでした。

モルゲンロート、再び!
モルゲンロート!朝から素晴らしい景色を拝めました。

山の上の窓から
2階の大部屋の窓からの景色ですらこんなです。

支度が整い、靴も履いていざ出発!となった時点で忘れ物がないか気になりわざわざ靴を脱いで2階に戻り忘れ物のチェック。何も忘れ物はなく改めて靴を履き外に出ます。アイゼンを装着し出発。時刻は午前7時半でした。朝食後のこの時間帯ではおそらく自分が一番早い出発で、後続に前日ご一緒した新潟の男性らがいました。

さようなら、くろがね小屋!
さようならくろがね小屋!

最高すぎるだろ、安達太良山
3分くらい登った時点でこの様子です。

突き抜けるような青空と一面の雪景色を独り占め。最高かよ・・・

足跡がない
進行方向には足跡がなく、

自分の足跡だけ
振り向けば自分の足跡のみ。遠方に見えているのは蔵王?

下界には薄もや
下界のほうはもやがかかっていました。

そして8時50分くらい、とりあえずの目的地である通称乳首が見えてきました。

山頂が視界に入る

この時点でいた場所は前日も通過した峰の辻。ここから山頂へ至る経路としては二つの選択肢があり、前日通過したルートを通るかもしくは「牛の背」を経由して至る道。牛の背経由の道は2016年に登った際に通過したことがあり景色が良かったと記憶していましたが、少し遠回りになります。一瞬少し迷いましたが次に来られるのがいつになるか分からないので牛の背経由で行くことにしました。15分くらい坂道を登ると、安達太良山と鉄山の分岐にたどり着きます。

昔来た事のある分岐

ここから先、山頂に至る道の異世界感がすごい!今写真を見返してもすごいところにいたなぁと改めて思います。

火口の先に飯豊連峰!
前日よりもクリアに見えている気がしたのは朝だからだろうか。

青空と雪の世界

異世界感がすごい

遠方には飯豊連峰
飯豊連峰。

こちらは吾妻連峰
吾妻連峰

自然の造形美よ!

自然の造形美!冬だからこそ見られるこの光景。寒い寒いと今までは冬山を敬遠していましたが、こんな景色を見られるなら寒いのを耐えてもいいかなと思えます。そして8時半、前日も訪れた山頂直下に到着。遠回りしましたがそれでも自分よりも前にこの時間帯に来ていた人はいないようでした。

この時間帯の一番乗りか

そのわずか3分後には前日に引き続きこの旅で二回目の安達太良山の山頂に立っていました。

再び山頂!

前日とほぼ同じ角度の写真が続きますが、改めて見返してみると前日よりも雲が少なくより空気が澄んでいる印象です。

絶景過ぎる!

磐梯山、再び
磐梯山

那須岳
那須岳

よーく見ると
この写真、よーく見ると・・・

登ってきている人が見える
下のほうに後続の人が見えていました。

登頂から10分前後で、下から登って来ていた人たちの一人目も山頂に到着。写真を撮っていただきました。

安達太良山、登頂!

登頂!同じ登山でも夏山とはまったく別のジャンルと言える冬山登山です。

安達太良山のパノラマ!

9時前後に山頂から降り少し休憩していたところ、下からスノーボードを担いだ人が上がってくる。下山時はその板で滑走するのだろうか。

ボーダー、山頂へ
山頂へ登っていきました。

さて、名残惜しいですが下山開始です。

下山のときがきてしまう

行きで使った「樹林帯の上ルート」(上の写真で右のほう)はもちろん使用せず正規(上の写真で標柱のあるほう)の登山道を使用します。ちょうど下山を開始したところで前夜打ち解けた新潟の方が登ってこられたので挨拶を交わす。一期一会を楽しめるのもまた山の醍醐味である。下山を開始したはいいものの、安達太良山があまりにも名残惜しかったので何度も振り返っては写真を撮りました。

振り返れば安達太良山

小さくなっていく

もう見えなくなりそう

10分程度で前日間違えた(?)分岐のところまで降りてきました。

そして前日の分岐点。

下から登ってくる比較的軽装の男性に「この先の様子はどうですか?」みたいなことを聞かれたので、「道が二手に分かれていますが右のほうが楽ですよ」と伝える。直登ルートは踏み抜き地獄で本当にきつい。ここからはどんどん高度を下げていきます。

どんどん進みます

冬山だとストックはほぼ必須ですが、前から使用しているブラックダイアモンドのZ型に折りたためるストックはシャフトが高頻度で分解する!分割するかしないかのかろうじて少し斜めの角度で連結した状態のストックを力任せに雪に叩き込んだところ、変な角度で連結してしまう。このストックが故障しているものだと思い込んでいた俺は「下山したら新調してやる!」と憤っていましたが、それは大きな間違いだったと後から思い知らされることになります。

ほんとの空はここに

相変わらず埋まっている

9時45分くらい。「ほんとうの空の碑」のところで荷物を少しまとめて、改めて出発。山頂から4G表示になっているのにぜんぜんネットにつながらず、このあたりでiPhoneを再起動させたところようやくネットにつながり下界に戻ってきたことを実感します。楽しかった山旅の終わりが近い。20分くらい歩いた10時過ぎの時点でゲレンデまで戻ってきていました。

見紛う事なきゲレンデ

登山道の標識がなくどの方向に進むか少し迷いますが、2016年に来た際のGeographicaのログを見てルートを確認してその方向に進んだところ登山道を発見。Geographicaは非常に役立つアプリです。

リフトの下を歩く
リフトの下に登山道がある。

そのまま下り続けて10時半の時点で駐車場まで戻ってきました。

帰ってきたー!

車の数が増え過ぎていて驚きます。まずは荷解き。少し時間を使ってある程度荷物をまとめました。

ダンボー氏も無事下山
無事戻ってきました。

荷物をまとめたら、車で登山口方面に少し戻り「奥岳の湯」で疲れを取ります。ここは全国的にも珍しいpH2.5の酸性泉で筋肉痛や疲労回復に効果があるのだとか。露天風呂からの景色が最高でした。

あだたら山 奥岳の湯(公式サイト)
http://www.adatara-resort.com/green/okudakenoyu.stm

何から何まで最高の安達太良山です。温泉に入ったらついに帰路に就く・・・わけではなく、次はクライミング仲間Tさん紹介の酒屋・泉屋に向かいます。混雑している道をかいくぐりようやく郡山市内にある泉屋に到着したのが12時40分くらい。Tさん曰くここは「レア酒が普通に定価で売っている東北No1の酒屋」。店員さんの話を色々と聞いた上でこの日はこの2本を自分へのお土産として買って帰ることにしました。

天明、ゲットだぜ!

天明の一年低温熟成火入の山田錦純米大吟醸と、同じく天明の亀の尾の生の中取り!夜の飲み比べが楽しみです。車に戻り荷物を少しまとめていたら13時前になっていました。そしてここからようやく本格的に帰路に就くことになります。一人で帰るので高速は使用せずに下道で5時間の長旅です。13時過ぎに出発しまず向かったのは郡山から近い道の駅・たまかわです。お土産を入手するために向かったこの道の駅ですがお土産がほとんど売っていない!地元の人が使う八百屋みたいな道の駅でした。時刻は13時40分。お土産を求めて次に近い道の駅・はなわに向かいました。到着したのは14時45分くらい。ここもかなり渋めの道の駅でした。

のどかすぎるだろ・・・
のどか過ぎる。

なんとかお土産にこんにゃくもちを購入。何でもここはこんにゃくの産地として有名なのだとか。ついでに日本酒の肴として蓮根の醤油漬も入手し、15時過ぎに道の駅を出たら次に向かったのは「みんみん高根沢店」。今年に入ってから那須岳の帰りにすでに一度立ち寄っており月一ペースで訪れています。みんみんの近くのガソリンスタンドに着いたのが16時20分前後。入れる量は家の近所に到着できる分のみです(家の近所のGSが安いので)。往路同様、目的地を細かく刻むと疲れがたまらない気がします。みんみんに移動し餃子にありつけたのが16時40分のことでした。相変わらず何ご飯なんだろうか。

みんみん餃子

連れへのお土産に生餃子を2人前購入。お酒といいみんみんの餃子といいこのときはお土産が豊富でした。昨年筑波山に登った際に立ち寄った道の駅・しもつまを通過したのが17時40分過ぎ。だいぶ千葉県に近づいてきました。そして先生と合流予定の駅に到着したのが19時5分前くらい。5時間強の長旅でした。先生と合流後は家の近所でガソリンを満タンにしてから帰宅。買った日本酒の飲み比べ大会開始です。

飲み比べるぜ!

旨い!!同じ日本酒というジャンルでもまったく味わいが異なります。つまみの蓮根の醤油漬けは日本酒にぴったりでした。そしていい具合に酔いも回ってきた23時8分。福島県沖地震が発生し自分が住んでいる千葉のエリアもかなり揺れました。徐々に揺れが激しくなるなかで自分がまずしたことは

おちょこ

に入っていた日本酒が零れ落ちないようすすったこと。クライミング仲間Tさんいわく「それ正解」。あとから調べたところ自分が下山時に車で通過した山道が陥没して通行不可になっていたりと、数時間前にいたエリアがかなりの影響を受けていたようでした。間一髪、まさしく一寸先は闇。何が起きるか本当にわからない世の中です。

余談:ストックの件

翌2月14日(日)。9時起床、起きて向かったのはコメダです。モーニングに間に合わせるため早く起きるという気合の入りよう。そしてモーニングといいつつ13時過ぎまで滞在しました。そこから向かったのは近くのモンベル。もうあのストックは使わん!と息巻いていた俺。モンベルでストックを見ていたところ、モンベルのZ型ストックはグリップに近い部分を伸ばすことでポッチが出てきて固定される仕組みになっていることを知る。まさか俺のはそんな仕組みないよな、と思って試しに持参していたブラックダイアモンドのストックを思いっきり引っ張ってみると・・・

ポッチが出た。

あるじゃあねえか、ポッチ!!購入したのは2015年2月19日。買って6年経ってようやく本来の使い方を知るこの人。取扱説明書、見ようぜ?使い方を間違えて半分壊してしまったのかと自分の愚かさに衝撃を受けます。いったん帰宅し、なんとか直せないかと1時間前後格闘。うまく直らないので安めのストックがないか近所の山道具屋に繰り出すも手ごろなストックが見つからない。山道具屋からの帰宅後も改めて直らないかと格闘するがまったく直らず。いったんはあきらめて肩を落としがっくりとうなだれながら食材の買出しに出かけました。そして帰宅後。ふいに思いついた「プライヤー2本使って回しながら引っ張る」作戦を最後のあがきにやってみようと近所の百均でプライヤーを2本購入します。そして引っ張ってみたところ・・・

直った!

合計4時間の格闘の末なんとか使えるレベルまで直すことができました。山道具は実用的に作られている。力任せに使用したらろくなことにならないということを学んだ安達太良山でした。直したストックは翌週大活躍することになります。

LINEの背景を変えたりしながら平日を過ごし、そして2月19日(金)。俺は再び先生を迎えに都内に向かっているのだった───

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