岩手放浪記: 悠久の時に想いを馳せて、平泉探訪

前回のブログで書いた通り、秋田駒ヶ岳に登った翌日の9/13は平泉観光をしていました。天気がどんよりとしており、車中泊していた道の駅・石鳥谷からなかなか出発できず結局平泉・中尊寺の駐車場に着いたのは13時過ぎでした。平泉は修学旅行の場所としてもよく選ばれるようで、この日も中学生?の集団が来ておりました。ここ中尊寺は全域が重要文化財として指定されているようです(岩木山神社でも思いましたが、もう何回目の重要文化財か分かりません)。もちろん目指すは、有名な中尊寺金色堂。中尊寺に至るまでにもお堂が幾つかあり、特に目を引いたのは峰薬師堂。目にご利益があるということで、絵馬がものすごくシュールでした。


金色堂に至る道、高い木々が高野山を思い出させます。


目にご利益があるという峰薬師堂。


絵馬がどシュール。

このまま道を進むと金色堂。金色堂自体は撮影禁止で、写真はサイト等で見かける新覆堂のみとなります。ここ中尊寺では、今後の旅の新しいアイテムを入手しました。それが下の写真にある御朱印帳。10月~11月に予定している奈良の大峯奥駈道縦走時に御朱印を必ずもらいたい、とかねてから思っておりましたが、そもそも御朱印自体にさほど詳しくなかったのでした。そこで平泉に行く前に少し調べてみたところ、御朱印とは実に奥深い!ちょうど金色堂では、御朱印帳をここで買わないと手に入らない見開きの金色堂御朱印が頂けるという事でしたので、金色堂で入手する事にしたのでした。今思えば富士山頂、伊吹山、雄山、白山、高野山、氣比神宮、岩木山神社、岩手山神社・・・などなど御朱印を頂ける場所をかなり通過してきたので、早くに御朱印帳を入手しておくべきだったかもしれませんが、御朱印帳との出会い自体もまた縁かな、とも思います。


よくウェブサイト等で見る新覆堂。中に入っている金色堂は撮影禁止でした。


御朱印帳、これは金色堂にかけられていたという金銅華鬘(けまん)をモチーフにしています。


金色堂の見開き御朱印、インパクトがあります。

そしてここでは敦賀以来の再会となる松尾芭蕉と会う事になります。奥の細道でここに立ち寄った松尾芭蕉は、実に味わい深い句を残していました。

五月雨の降り残してや光堂(おくのほそ道)

今回訪問した際も、五月雨ではありませんが霧雨で、こんな天気の中この句を詠んだのだろうか・・・何て事を思ったりしました。偶然ですがこの後も行くところ行くところ松尾芭蕉の句碑が残っており、何かの縁を感じ今ではすっかり魅了されています。


またお逢いしましたね。

中尊寺を堪能した後は、すぐ近くの毛越寺へ。この毛越寺が実に良かった・・・。友人からは「奥州藤原氏の栄華を堪能してください」なんてアドバイスを受けていましたが、その通りで、当時誇っていたであろう奥州藤原氏の栄華を垣間見る事ができました。浄土を模した庭園・大泉が池の独特の雰囲気もさる事ながら、ここにも再び残されていた俳聖・松尾芭蕉の句が心を打ちました。

夏草や兵たちが夢の跡(おくのほそ道)

これは源義経を詠った有名な句ですが、知識不足でここで詠われたものとはつゆ知らず、この場所の雰囲気と相まって非常に胸を打つものがありました。松尾芭蕉の真筆と言われる句碑も残されていました。


大泉が池。何百年も前の人が作った庭園を目の当たりにするというのは、心に迫るものがあります。


松尾芭蕉の真筆と言われる句碑、行くところ行くところ俳聖の句が残されています。

個人的に最も心を打たれたのは、遣水。池に水を取り入れる水路・遣水は、平安時代に造られたものがそのままの形で発掘されたという事で、美しい流れとせせらぎが浄土庭園に風雅な趣を添えていました。写真では伝えられませんがせせらぎが心を打ちます!数百年の時を超えて発掘され蘇ったものを目の当たりにしている。当時の人たちもこの風景を見ていた・・・と思うと、悠久の時になんだか身体中が押しつぶされるような感覚に囚われました。

中尊寺の金色堂を建立した奥州藤原氏も結果的には滅びた事を想うと、栄枯盛衰という言葉が心に浮かびました。平泉は、きらびやかな金色堂よりも、当時あった寺院が今は影も形もない毛越寺の方が強く印象に残っています。

毛越寺のあとは、少し時間が残っていたので達谷窟(たっこくのいわや)へ。ここもまた色々と歴史がありそれも面白いのですが、ここはとにかくその見た目のインパクト!!何故こんなオーバーハングした岩場に建てたのか!?と突っ込みたくなるような場所に建立されています。


入り口、鳥居を三つくぐると・・・


とんでもないところに建てたものです。

達谷窟見学のあとは、まだ17時前と少し早かったのですぐ近くの厳美渓(げんびけい)を見に行くことに。渓流の景観はよかったものの、悪天候だったのか水が濁っており、また、八甲田山から八幡平へ移動する際に見た奥入瀬のインパクトが強かったからかさほど感動は覚えませんでした(地元の方ごめんなさい)。

色々と見学し終えたあとは温泉タイム。この周辺には温泉施設がたくさんあり、一番行きたかったのは須川高原温泉(須川といえば秋田駒ヶ岳のあと入った温泉で会ったおじさんの話を思い出す)だったのですが割と距離があったのでその手前の瑞泉閣という温泉に行くことにしました。が、たどり着いてみたところ・・・日帰り入浴は15時まで!もちろん諦めるしかないので、第三候補としてそこから少し離れたところにある真湯温泉へ行くことに。正直そこまで期待していなかったのですが(失礼)、露天風呂が実によかった!今回の旅で初の茶褐色の温泉で、真横が鬱蒼と生い茂る木々の中にある露天風呂はまさに山奥にある雰囲気。閉館ギリギリで入ったので自分ひとりだったのですが、日が暮れて真っ暗闇になりつつあるなかの露天風呂はむしろ不気味で今にも熊か人知の及ばないナニカが出そうな雰囲気でした。そんな温泉でしっぽりしたあとは次なる目的地のすぐ近くにある道の駅・林林館へ。翌日は2年9ヶ月振りに彼の地を訪れることになります。

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