GW山の旅第三弾は2016年の長期縦走中に通過しただけ(しかもガスの中)だった唐松岳に登りました。21’GW最後の山となるこの日を振り返る前に、改めてこの旅の登場人物を紹介したいと思う。
チーム紹介
それでは2021年GW最後の山を振り返ってみたいと思う。
5月4日(火)唐松岳編
5時半ごろ起床。外に出てみると、前日は暗くて見えなかった山のほうがばっちり見えていました。
白銀。
思った以上にがっつり雪に覆われている!どうやら前日かなり降ったらしく、通常時よりも積雪量があったようです。起きて間髪入れずに向かったのは八方 第3駐車場。ここはトイレがあり駐車スペースもかなりの数という事前情報がありました。5時55分に到着した第3駐車場は確かに空いていましたが、車中泊したと思われる車もちらほら・・・ここは車中泊禁止になったはずです。こういう輩がいるから車中泊する人たちの肩身が狭くなるのです。菅平牧場で立てた計画に沿って、朝ごはんを食べたり登山の準備をしたりして7時前まで車の中で過ごしリフトへと向かいました。この日の行程を前日菅平牧場で撮った地図をベースに簡単に説明したいと思う。
この日のプランはゴンドラリフトアダム、アルペンクワッド、グラートクワッドを乗り継いで八方池山荘まで上がり、そこから唐松岳へとピストンして八方池山荘まで戻ってくる、というプラン。事前にYAMAPなどで調べた限りではグラートクワッドの下りの最終が15時40分ということで時間との勝負という側面もあるようでしたが、アダムが運行開始した直後に乗ればコースタイムに多少余裕を持って動けると踏んでいました。事前の電話で当日7時45分チケット販売開始、8時にアダムが運行開始するという情報を得ていたので多少余裕を持って(このときはそう思っていた)7時にチケット売り場に向かうことにしていました。
とういことで、7時ちょうどくらいに車を出てチケット売り場まで歩いて向かいます。履いているのは前日買ったばかりのSalewaのニューシューズです。まわりには登山者に加えてスキーヤーやボーダーを多く見かけました。道中、二日連続のご当地マンホールを発見します。
7時10分くらいにチケット売り場に到着すると、すでに列ができている。人がまばらにいるのでこの時点では状況が読めていませんでしたが、地面においてある多くのスキー板やボードはどうやら場所とり用ですでにすごい人数が並んでいたようです。自分たちが並んだ後ろにもどんどん人が増えていきます。少し早めに開始されたチケットの販売で列が動き出し、チケットを購入できたのが7時50分。そこから次はアダムに乗る列に加わります。この時点であたりはこんな様子。
すさまじい人!今コロナ禍じゃなかったでしたっけ?と思わせる人混みです。牛歩の歩みで進んでいきようやくゴンドラ乗り場の目の前にたどり着いたのが9時10分くらいでした。
後ろを振り返ると人がごった返しておりとんでもないことになっている。7時10分過ぎに並び始め、9時10分過ぎにようやくゴンドラに乗れました。混雑している理由は、本来は相乗りしているゴンドラをコロナの影響でグループ単位でしか乗せていないことにあります。例えば二人グループが二組みいれば本来まとめて乗せられるところをあえて2台に分けている。そりゃ時間かかります。コロナ禍の影響は本当に至る所で出ています。まさか乗るまで2時間もかかるとは・・・予定より1時間遅れのスタートとなりました。
リフトを乗り継いで到着したグラートクワッドの降り口のあたりは既に絶景!
時期としては残雪期かもしれませんがガチの冬山ですよこれは。リフトに乗っている時点から眩しくて既にサングラスは装着済み。もちろん登山開始時点から軽アイゼンを装着します。出発時刻は9時45分でした。GW最後の登山が幕を開けました!ここには個人で来ている人やパーティ、団体など様々な登山者が訪れていました。少し登って振り返ると、リフト乗り場は既に小さい。
最初の急登を登りきるとベンチがあり目の前には相変わらずの絶景が開けていました。場所としては八方山ケルンのあるあたり。このあたりではまだ先生が「暑い」と言って夏山のような服装でいられる余裕がありました。
少し歩くとすぐそこに第二ケルン、その先に八方ケルンが見えてきます。ケルンだらけ。この位置からは不帰嶮(かえらずのけん)が目の前にずばーん!と見えていました。
2016年の縦走の後半によくあの道を歩いたな、と自分でも感心する。左のほうの尖った山が目標の唐松岳だったようです(今知る)。下山時に先生が撮った展望図を見て確認しました。
八方池に10時半過ぎに到着。ここまではなだらかな傾斜でしたがこの辺からが本番です。遠方にはこんな道が見えていました。
結構上のほうを歩いてる!八方池から40分程度歩いて標高2361m地点まで登ります。八方池は2086mにあるのでここだけで300m近く登っている。ここらへんで服を着込んだような記憶があります。風が冷たくてかなり寒くなってきていたように思います。この日は俺よりも先生がパワフルだったので先生を先頭に再出発。
見てのとおりの急登を登っていきます。標高差は100m程度。向かう丸山ケルンのあるポイントに登り詰める際、遅い集団がいたので一気に抜かしましたがかなり息が切れました(たしかここだったと記憶している)。11時半に到着した丸山ケルンは風がすごいことになっている!少し息を整えたら改めて唐松岳に向けて出発。細かく一気に標高を上げる印象のルートです。
だいぶ唐松岳が近づいてきました(写真中央少し左の尖った山)。
地図上に「2554m」と書いてある地点まで、標高差120m程度を一気に登り詰めると道が少しなだらかになります。この辺から少し渋滞が発生しており牛歩の歩みでしたが、抜かせるほど歩けるスペースが広くない上に抜かす元気も余裕もない。ゆっくりと前の人たちについていきました。
ここから先の道?がなかなかにスリリング。少し足を踏み外したらかなり滑落してしまいそうです。
手元をカメラでふさいでいる余裕もだんだんなくなってきたのでカメラをしまって歩くことだけに集中します。そして12時10分の少し前。先頭を歩いていた女性?グループの「すごーい!」というような歓声が聞こえてきます。この時点では傾斜がきつくて視界が開けておらず、少ししてその歓声の理由を知ることになりました。
剱岳。
そのエリアの王の如く屹立する姿は圧巻でした。ただ、先生は少し不満げな顔。その理由は唐松岳へ向かう道です。このときいた位置は唐松岳頂上山荘を眼下に見るピークで、ここから先は一旦標高を思いっきり下げてから唐松岳に登り詰めることになります。先生は今しがた聞こえた「すごーい」の声でてっきり山頂がすぐ近くだと考えていたのでした。戻ってきた後に撮った写真になりますが、山頂はこの尖った先端になります。
風が強すぎて休憩なんてしていられる場所ではない。それでも少し滞在して息を整えたらラストスパートに向けて出発。ここの最後の登りは本当にきつかった!12時半、無事登頂。この山行は先生が現在持っている装備で行ける限界の山行だったように思います。
山頂は凄まじい突風で、撮った動画の爆音が凄まじい。動画では先生の引きつった顔が印象的です。おそらくこれは「とんでもないところに連れてこられた」顔ですね。
爆風過ぎて長居できないので早々に撤退です。
一旦標高を思いっきり下げたところで、俺の体力が底をつきかけていたので先生に先に行ってもらいました。前日買ったパンでエネルギー補給です。この場所、風があまりにも強すぎて手元がおぼつかない。なんとか封を切って一口二口胃に放り込んだら食べながら再スタート。12時55分くらいに頂上山荘を眼下に見るピークまで戻ってきました。ここでパンの残りを食べようと思ったところ、袋の一部がちぎれて紛失している!どうやら袋の一部が強風で吹き飛ばされたようでした。山にゴミを極力落とさないようにしている自分としては恥ずべき失態でした。
さて、本格的に下山です。15時40分の最終リフトに間に合わせる必要がありますが、コースタイムはここから3時間。ちんたら降りていたら間に合いませんが、何故かあまり心配せずいつものペースで下山を開始しました。切り立った道を慎重に突破したら、あとは急斜面を駆け下りていきます。道中、ストックのキャップがひとつ落ちていたのでゴミを落とした分の罪滅ぼしに拾っていきました。そしてあれはおそらく丸山のあとの急斜面。そりで一気に下った跡のある道上にペットボトルがあったのでそれも罪滅ぼしで回収するべく下り始めたところ、足を滑らせてそりの跡を一気に下まで滑り落ちる!スピードが速すぎてペットボトルを取れませんでしたが止まったところにもうひとつ落ちていたのでそれを回収してザックにしまいます。俺が滑るのを見て「そんな方法もあるのか」とでも思ったのか、後続のおじさんも同じ方法で一気に滑り降りてくる。そして先生もおそるおそる足を踏み入れ「きゃーーーーーー!!!」とか言いながら降りてきます。動画に撮っておかなかったことが悔やまれるくらい楽しい体験でした。またどこかの雪山で滑り降りてみたい。
そのあとも一気に駆け下りていきますが、あまりにもペースが速かったので後続の先生から「待って~(怒)」という声が聞こえてくる。俺の予測変換では台詞のあとに音符かハートマークでもついている言い方に聞こえていましたが、本人曰く「怒りマークしかねぇわ!」とのこと。猛スピードで駆け下りたおかげか、コースタイム2時間の八方池まで
1時間
で到着。x0.5のスピードです。時刻は13時55分くらい。ここで昼食休憩をがっつりとることにしました。普段から考えたらありえないくらい遅い昼食休憩です。この時間までまともに昼食も摂っていなかったので空腹が限界に達していました。この日の山行は思い返してみても色々と反省や学びの多い内容だったように思います。
食事含め結果的に40分滞在しました。道中、下山中の登山者に「ピッケル落としませんでした?上で拾ったんですが」と声をかけられる。とんでもないものを落とす登山者もいるもんです。軽くなって気づくようにも思うんだが・・・。パッキングし、下山を開始したと思ったら再び立ち止まる二人。下山しきる前に写真撮影の時間を設けることにしました。
第二ケルンあたりで撮影、午前中とは雰囲気の異なる鹿島槍ヶ岳と五竜岳。なんというか優しい印象です。
八方山あたりから撮影。まさしく、「山が好き酒が好き」Tシャツを買ったのが目の前の五竜岳にある五竜山荘。このシャツを購入してから5年近く経ちました。次はこのシャツを着て五竜岳に登りたいなと思う。それにしても五竜岳はかっこいいなぁ。
10分程度で写真を撮り終えたら、軽アイゼンを外して下山のラストスパート。グラートクワッドまであとわずかです。
アイゼンがないと歩きにくい場所があったりしつつも、特に難所はなくリフト乗り場に到着。時刻は15時10分でした。すぐに来たリフトに乗り込み、次のアルペンクワッドへもすぐに乗り継げましたが最後のゴンドラ・アダムで行列ができている。
ちょうどゲレンデも閉まる時刻が近づいていたのでスキーヤーやボーダーも集まり始めている。25分くらい並んでアダムに乗り込みました。朝の2時間に比べれば・・・。
そして16時10分くらいに麓まで戻ってきました。色々と過酷だった唐松岳登山。二人ともホッと胸をなでおろす。駐車場に戻り荷解きし、駐車場から出発したのは16時50分でした。登山は終わりましたが場所はまだ白馬。関東方面への長旅が始まります。まず向かったのは道の駅・白馬。お土産を買うためです。お土産の白馬チョコ・デコレ(半額)に加えてりんごサイダーや白馬ビールを買ったら、次は安曇野の温泉へ移動。移動開始は17時15分過ぎです。この日行ったのは日帰りでも利用可能な温泉施設・すずむし荘。ここの雰囲気が抜群に良い!
すずむし荘(公式サイト)
http://suzumushi.jp/suzumushiso/
ここにはいずれ宿泊でも訪れたいと思う。温泉を出たら安曇野IC方面へと移動。ガソリンが尽きそうだったので10.5L程度給油したら向かったのはステーキ宮の豊科店。ここに来るのは常念岳の前日以来2回目となります。サラダとご飯をアホほどおかわりしてこの日消費したカロリーを一気に戻しました(戻しすぎ?)。
夕食を終えたのは21時。まだ長野にいるのが信じられない時刻ですがようやく高速に乗り関東への帰路に就きます。この日は談合坂SAあたりから渋滞が発生していたので高速を降りてオウムの群れを尻目に下道で「前線基地」へと向かいました。ここは神奈川かと信じられない山道を経由しようやく前線基地に到着したのは1時を過ぎていたように記憶しています。内容の濃い一日がようやく終わり、GW最終日に突入していきます。
5月5日(水)エピローグ
午前中から午後にかけて前線基地でのんびりダラダラと過ごします。一日あったのでGWの精算を終わらせることができました。16時台になりようやく出かける準備が整い向かったのは瀬谷にあるらっち家という家系のラーメン屋さん。店に向かう道中、再びご当地マンホールを発見。なんだかんだ7個目になりました。
らっち家は家系なのに比較的さっぱりしているのが売り。この日は醤油ラーメンをいただきました(豚骨ベース?)。
らっち家(食べログ)
https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140303/14048136/
そのあと近所の「お風呂の王様」でさっぱりし、ついに千葉に向けて出発します。20時半前後ごろに近所のスーパーに到着し、そのあと満タンまで給油したら帰宅。信州の山々を駆け巡った2021年GWがついに終わりを告げました。
甲武信ヶ岳は新しいルート、四阿山はまったく異なる雰囲気、唐松岳は新しいルート+異なる季節、と、山頂こそ踏んだことのある山ばかりですが新しい山のように楽しめる旅となりました。同じ山でもルートや季節を変えれば楽しむことができる。これもまた山旅の良さと言えるのかもしれません。このGWは遭難のニュースも多く聞きました。特に唐松岳は装備の面や強風下での食糧補給の点で反省もあり、いずれも遭難につながる恐れがあるので今後改善していきたいなと思う。
家に帰り着いたのは水曜日。間髪いれずにこの週の日曜日に次は男体山に向かう俺と先生。2021年の怒涛の山行はまだまだ終わらない!
2021年GW・信州山の旅 完