Prefectural Peak Hunting 7: 小蓮華山(北アルプス縦走・後編)

2016/8/9~21にかけての北アルプス縦走、前半戦に引き続き後半戦のまとめです。

■8日目(8/16)■
◇天気◇
晴れ→(五竜岳登頂以降)曇り
◇行程◇
出発(4:08)→布引山(5:01)→鹿島槍ヶ岳(5:40)5分滞在→鹿島槍ヶ岳北峰(6:13)→キレット小屋(7:20)→北尾根ノ頭(8:48)→五竜岳(10:31)5分滞在→五竜山荘(11:14)
※コースタイム比: x0.77

8日目のこの日は朝から快晴でしたが、台風7号が近づいているという情報もあり前日のように雨に降られてはたまらないので早出をしさらに全力で飛ばして歩きました。食材が減り徐々にザックが軽くなってきたのか、縦走後半戦は飛ばすということが可能になってきました。4時に出てもさすがに鹿島槍ヶ岳のご来光には間に合わず、ご来光は鹿島槍ヶ岳を見上げる形で訪れました。


鹿島槍ヶ岳中腹でのご来光、これはこれで。

上の写真から30分弱くらい登ったところが山頂。快晴で、最高の見晴らしでした。特に2日目に通った槍ヶ岳が見えたのが個人的には胸が熱くなったところで、槍から槍へ繋げたんだなぁ、と1人感動でその場に立ち尽くしていました。


鹿島槍ヶ岳山頂にて。遠方に槍、右の方に水晶、他ここまでに至る山脈が一望できます。
いかんせん前日の行程が一日曇り+雨だったのでどれがどの山かよく分からず、下山後に調べてようやくなんとなく分かりました。


この時点では快晴!雲海の下の町では曇りだったのでしょうか?


これから向かう道、八峰キレット~五竜岳。

急峻な八峰キレットを見て「カッコいい!」と思ったりキレット小屋を見て「よくこんなところに建てたな…」と感じながら、いつの間にか五竜岳取り付きへ。


見上げれば五竜岳、これもまたカッコいい山でした。

飛ばしたからか時間的には余裕がありつつも、念のためスピードは維持したまま行動。五竜岳の登りもゴツゴツしており面白く、楽しんでいる間に縦走路の頂点に到着。五竜岳の山頂は縦走路から外れているのでそこに向かったところ老夫婦が来ており、写真を撮ってもらいました。


剱岳をバックに。

この時点でいつの間にか雲がかなり来ており、道を埋め尽くさんばかりでした。


向かう先か振り返って撮ったか忘れましたが、とにかくこんな感じに。

到着した時点で山荘はガスまみれで、視界が非常に悪い状態でした。


こんな感じに。飛ばして正解でした。

テントを張り、一息ついたところ隣にも1人テント泊の人が来て、例の如く仲良しに。話を聞いてみると、なんと順調に行けば数日後に通る栂海新道から来たとのこと!ついに栂海新道から来た人が現れたか…とここでまた1人感動していました。翌日晴れることを祈って、20時就寝。この祈りは天に届かなかったようで…。

■9日目(8/17)■
◇天気◇
午前4時~午後15時過ぎまで悪天候、以降曇ったり晴れたりが続き夜快晴
◇行程◇
一日停滞

午前2時くらいに強風がテントに当たる音で目覚め、風だけならと思っていたら午前4時くらいから大粒の雨。この日予定していた行程を天狗山荘まで短くすれば出発を遅くしても行ける、と朝7時くらいまで粘りましたが、全く止む気配なし。むしろ風も雨も強まるばかりで、いい加減テントにいられなくなったので小屋の前に行ってみると前日仲良くなった人が。


この天候で突っ込む人たちも。

さらに、前々日冷池山荘で一緒の部屋だった人もいて、なんでもその人はツェルトで寝ていたところ雨が凄まじすぎて朝6時に小屋に撤収し1泊小屋で泊まることを決めたとのこと。「冷池、五竜、と小屋泊ばかりで災難ですね」なんて話をしつつ、自分のテントも結構浸水しており他人事ではない。栂海新道から来た人と一緒に「頼むから止んでくれ」と祈りながら数時間。午後1時くらいにようやく小康状態になり、午後3時にようやく雨が止む。そして午後4時前ついに青空がのぞく!ここからは晴れたりガスったりを午後7時くらいまで繰り返していました。


青空!みんなの顔も一斉に晴れ間に


雲がかかった五竜岳。午後7時くらいまで隠れたり出てきたりしていました

そして午後7時。ツェルトから避難した彼から「外すごい景色ですよ!」と声をかけられテントから出てみると、いつの間にやら凄まじい快晴!10時間以上テントの中で「止まない雨はない」と念仏のように唱えていた1日が報われた瞬間です。台風一過、という言葉が頭を過りました。


雲ひとつかかっていない五竜岳と星空。


夕暮れと五竜山荘。


昼間のように明るく辺りを照らす月。

余談ですがこの日昼間に小屋で談笑していたら購買意欲が湧き、有名?な五竜山荘オリジナル「山が好き酒が好き」Tシャツを購入。山の日制定記念でザ・ノース・フェイスとコラボした限定版があり、そちらを選び買った瞬間にTシャツを着替えました。

また余談ですが、この五竜山荘、コンセントもしくはUSBの充電が60分間無料で、2泊滞在したので2回フル充電させてもらい大変助かりました。ありがとうございました。

終わり良ければすべて良し。こうして停滞日は終わったのでした。

■10日目(8/18)■
◇天気◇
晴れ→(テント場到着後)雨→(夜)晴れ
◇行程◇
出発(4:15)→唐松山荘(5:56)→唐松岳(6:11)→天狗山荘(9:36)15分休憩→鑓ヶ岳(10:37)→[やや道迷い]杓子岳(11:37)→白馬頂上宿舎(12:23)
※コースタイム比: x0.77

10日目、ついに二桁です。朝は快晴でしたが、前日の情報で「台風は去ったけど前線が残った」みたいな話もあったので、晴れているうちに目的地に到達すべくこの日も早出。朝のうちは雲は厚いものの晴れていました。


怪しい雲が…。

ここから先はガスったり晴れたりを繰り返していたのですが、天狗山荘で鑓ヶ岳を見たのを最後に天気は完全に曇りに。


今回の山行で3本目の槍、白馬鑓ヶ岳。

このあとはどんどん雲行きが怪しくなっていったので飛ばしていたのですが、杓子岳の行き方がイマイチ分からず少しタイムロス。杓子岳を降りた時点でいよいよポツポツ来たので、最後の1時間10分(コースタイム)を飛ばしに飛ばし35分で突破し目的地の白馬頂上宿舎に到着。ダッシュでテントを張ったら間髪入れずに雨が降り出しました。


到着!白馬頂上宿舎。

この雨がかなりしぶとく、記録は取っていませんが17時くらいまで降っていたと記憶しており、テントの中に軽く浸水していました。小康状態が続いていましたが午前3時前にトイレに行った際空を見たら見事な星空で、ホッとしました。余談ですがこの日「夜の国のクーパー」2周目を読み終えました。

■11日目(8/19)■
◇天気◇
晴れ→(テント場到着後)雨が降ったり止んだり→(17:30以降)晴れ
◇行程◇
出発(4:15)→白馬岳(4:55)15分滞在→三国境(5:36)→小蓮華山(6:10)5分滞在→雪倉岳非難小屋(7:58)→雪倉岳(8:36)→水平道分岐(10:35)15分休憩→朝日小屋(12:10)
※コースタイム比: x0.90

11日目。せっかく晴れているので、テント場からすぐの白馬岳からご来光を見ようとこの日も例の如く早出。余裕でご来光前に到着し、ゆったりと日が昇るのを待ちました。


今回7座目の百名山、白馬岳。


地平線の彼方から正円の光が!

そしてこの日は、今回の山行の目的地の一つであった小蓮華山へ。白馬岳からも見えており、朝焼けに輝く姿は非常に美しかったです。


朝焼けに輝く小蓮華山。

小蓮華山へ向かう途中、ふと横を見ると白馬三山が見事に見えたのでパシャリ。


白馬三山、杓子岳と鑓ヶ岳が重なってる?

上の写真から少し歩いたところで、小蓮華山山頂に達しました。山頂には看板があるわけではなく、このような剣が立っていました。


山頂にあった剣。

小蓮華山で少しのんびりし、出発。雪倉岳に向かう途中の鉢ヶ岳を巻いているあたりからだんだん雲行きが怪しくなり、辺り一面ガスまみれに。雨が降ったらやばいぞ!と、急いで雪倉岳まで行きました。

が、この後がとにかくキツかった!ここまでの厳しさトップが烏帽子小屋~船窪小屋間なら、雪倉岳~朝日小屋間は間違いなく次点。急激に高度を下げ、そこから展望のない森の中をひたすら行くのはさながら修行のよう。小屋への最終アプローチである水平道も、どの辺が水平なのか登りばかりの道でした(地図には「大きくアップダウンを繰り返す」とあったのですが…)。水平道の最中に無駄に晴れてきて、「暑いよ!今はガスってくれ!!」とワガママなことを言っていたら本当にガスってくれて助かりました。

そんな水平道へのアプローチ直前、朝日岳との分岐点で休んでいたおじさんと話してみたところまさかの栂海新道を目指しているとのこと!しかも、上高地ではないにせよ笠新道から入っており、9日目ということで意気投合。しかも小屋に着いてから話していたら地元は名古屋とかで、今回の山行で初めて連絡先を交換しました。山には色んな出会いがあります。

小屋に着いてからは霧雨のような雨がパラパラ降ったり止んだりしていましたが、夕方5時半過ぎにようやく落ち着き晴れ間が。


ようやく安定した天候に。

残り2日!無事終われるよう祈りながら、就寝。

■12日目(8/20)■
◇天気◇
晴れ→(栂海山荘通過以降)曇り
◇行程◇
出発(4:15)→朝日岳(5:03)10分滞在→吹上げのコル(5:37)→長栂山(6:06)→黒岩山(7:47)→サワガニ山(8:43)→犬ヶ岳(9:57)→栂海山荘(10:09)15分休憩[黄蓮ノ水場で水確保]菊石山(11:52)→白鳥小屋(13:58)
※コースタイム比: x0.74

ついに下山開始となる12日目。とはいえまずは朝日岳に登る必要があります。この山行で何度目か分からないご来光を見に、またまた早出。標高が低いからか虫の量が凄まじい朝日岳山頂に、無事ご来光前に到着しました。


妙高山から昇る太陽。そしてこれが栂海新道へと続く道。


振り返ると幻想的な月が。


ついに看板に栂海新道の文字が!

ここからは標高が下がるにつれ気温が上がり、それと比例するように虫の量も増えどんどん厳しい道のりになりました。早く突破したいからかかなり急ぎ足になり、コースタイムより3時間くらい早く栂海山荘に到着。栂海山荘ではついに海が見え、さらに水平線(この言葉を使える日をどれだけ待ったか)の彼方には佐渡島が!


水平線の先に見えるは佐渡島!

小屋の人曰く「1年くらい通っているが見るのは初めて」とのことで、この日はかなり空気が澄んでいたのでしょうか。さらに、この日はまだ風がある方だったようで、前日はさらに蒸してうだるような暑さだったとのこと…ラッキーでした。

10時過ぎに目的地の栂海山荘に着いてしまったので、今回の山行で初めて初志貫徹を破り先へ進むことに。結果的にこの判断で正解でしたが、それにしてもここから白鳥小屋までの道のりは半端なく厳しかったです。暑さはさることながら、菊石山~下駒ケ岳への尋常じゃない登り、そして下駒ケ岳~白鳥小屋への異常なアップダウンの多さ。暑さ・虫の多さ・蜘蛛の巣・アップダウン、で正気を保つのが大変。「気が狂う!!」と思いながら、白鳥小屋に着いた時点で心底くたびれていました。菊石山~白鳥小屋間は今回の山行の中でダントツに一番きつかった「2時間」でした。ここまでで行動時間約10時間、結果的に今回の山行で一番長い連続行動時間となりました。

前日に会った名古屋のおじさんも「白鳥小屋まで行くかも?」と言っていたので少し待ってみましたが来る気配がなく、17時を過ぎたので「さすがにもう誰も来ないだろう」と無人の小屋で1人自宅みたいにくつろいでいると、栂海新道を登ってきたという大学生の男の子(19)がいきなり登場。鹿島槍ヶ岳を目指しているということで、今回の旅最後の夜は彼と軽く語らい終わりました。

■最終日(8/21)■
◇天気◇
行動中は曇り、下山後晴れ
◇行程◇
出発(3:46)→坂田峠(5:16)→尻高山(5:42)→二本松峠(6:10)→栂海新道登山口(7:01)→日本海(7:07)
※コースタイム比: x0.65

待ちに待った最終日。本来の栂海山荘から、というのは今思えば非常にしんどく、前日に白鳥小屋まで行っておいて大正解だったと思います。とにかく涼しいうちにスピーディに下山したかったので、今回の山行で一番早い3時台のスタート。早い分涼しかったのですが標高が低い分湿度が非常に高く、さらに蜘蛛の巣攻撃も執拗で気が滅入りながらぶっ飛ばして進むこと3時間。林の先についに海が見えてきました!


林の隙間の青は海の青!

そしてそこから進むこと約10分、時間は午前7:07…


ここを下れば…


日本海ーーーーーーーー!!!!!!!!

ついに日本海に到達、長い旅がこれで終焉を迎えました。体力的には意外とまだまだやれそうで、今回の山行で自分の底力を知ったような気がします。

初日から最終日まで毎日感じていた事ですが、今回の山行での1番のハードルは「自分の不安な心」でした。滑落したらどうしよう…天候が急激に悪くなったら…体力が尽きてしまったら…等々。数え始めたらキリがない不安と毎晩毎晩テントの中で戦い、そして毎晩毎晩勝つ事で、今回の山行を乗り切れたんだと思います。

独りになりたくて単独行で山に入ったはずなのに、登山道を歩く時は前後に人がいないか気にして、テント場に着くとすぐに周りの人と喋り出す。日が昇る前に独り出発した時の寂しさは言葉では言い表せません。でも、単独行だからこそ人と会った時や仲良くなれた時の嬉しさも大きく、また山行をやりきった時の達成感も大きいんだと思います。

縦走中に会った人には「重太郎新道+大キレットをあえて登ったところがすごい!」とよく言われましたが、奥穂高岳を経由したおかげで鷲羽岳や野口五郎岳の頂上から奥穂高岳を含む稜線がすばーん!と見れたので、個人的には奥穂高岳経由にして大正解だったと思っています。

下山した日は朝早かったので、車が置いてある上高地に13日かけた道のりを半日たらずでその日のうちに電車+バスで戻った話もありますが、それはまた次回。

旅の終わりは、次の旅の始まり。

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