Prefectural Peak Hunting 35: 石鎚山

前回のブログより引き続き、11月13日は病院での支払いから始まります。今回の旅で内容が病院から始まるブログを書いたのは初めてです。支払いの受付が開始されるのは9時ということだったので、8時過ぎに病院に行き9時前に支払いを済ませました。


お世話になりました・・・。

ここから石鎚山の登山口へは車で2時間20分。今回は、石鎚山に登るいくつかのルートのうち最も簡単に登頂できる「土小屋」からのルートを選択。時間的都合と、あとはメジャーなロープウェイ乗り場からのルートだと鎖場を経由するので怪我をしている右手に不安があったからでした。結果的に石鎚山への最終アプローチにはどのルートから行っても鎖場がありましたが・・・。とにかく、9時から2時間40分となると、12時までには着けそうでした。

さて、順調に走り続けること約1時間20分。目的地まであと28.7km、時間にしておよそ1時間というところに至った時点で、”あること”に気付きます。

ガソリンスタンドがない・・・!

具体的には、


いつも使っているiPhoneのカーナビアプリ。

この画像の、国道194号線から左に分岐するところに至った時点で気付きました。ガソリンの残量はメーターの1/4程度。山頂まで行ってガス欠になる姿が容易に想像できました。残り30km近くあるものの、どう考えてもあとは山道を登っていくだけで、まず間違いなくガソリンスタンドはない。とはいえ、ここまでに至る道にもガソリンスタンドがあった記憶は殆どなく、かなり前の高知市・市街地あたりで見たくらいです。この分岐にはかつてはガソリンスタンドであっただろう廃墟はありましたが、もちろん何の役にも立ちません。ガソリン難民、なんて言葉が頭を過ぎりましたが、冗談ではなく本格的にまずい。付近のガソリンスタンドを検索してみると、分岐地点から15分くらい走ったところに石川産業というガソリンスタンドを発見。


少し先に進んで右折。

助かった!ということでそこに行ってみると、既にバイクが3台ほど停まっている。よかった給油できる・・・と思い彼らに話しかけてみると・・・





「やってないみたいです」
なにぃぃぃぃぃいいい!!

これはまずい、本当にまずい。もちろん、俺だけではなくバイクの彼らもまずい。みんなで必死に検索し、バイクの彼らは高知方面へ、俺は戻るのが嫌だったので北上して西条市方面へ向かうことにしました。道中、近くにガソリンスタンドがないかどうか訪ねるために道の駅・木の香に寄ってみました。受付の人に訊いてみると、「今日は日曜で石川さんはやっていないと思うからね・・・西条まで行かないとないと思うよ」とのこと。はい、石川さんはおっしゃるとおりやっていませんでした。もうこうなったら西条まで行くしかないので、諦めて先に進むことにしました。あまり心に余裕はなかったものの、この道の駅の周りの風景があまりにも綺麗だったので何枚か写真を撮ってきました。


道の駅の横には川が流れています。道の駅・しおのえといい、四国の道の駅はこんなところが多いです。

このまま車を飛ばして景色自体は最高な道を進むこと数十km。市街地まで行ったところで、ようやくガソリンスタンドに辿り着きました。給油し登山口を目的地としてナビに入れなおしてみると、62.1kmと表示されていたので、分岐から登山口までの距離を差し引くと33.4km・・・。

往復約70kmくらい無駄に走らされたことになります。ガックリきながら来た道を戻りましたが、とにかく風景はものすごく綺麗。登山口に至るまでに何回か写真を撮るため車を停めました。場所としては国道194号線沿いと石鎚国定公園周辺です。

ようやく駐車場に到着し、支度して登山口に着いたのが12:56。駐車場には予想をはるかに上回る台数の車が停まっていてビックリしました。予定より1時間半以上遅れてしまいましたが、それでもコースタイム的には日が暮れるまでに余裕で戻ってこられるので、気を取り直して出発しました。


登山口に通じている神社、「石鎚神社土小屋遙拝殿」の鳥居。


立派な神社で、参拝して御朱印を頂きました。


頂いた御朱印。

石鎚神社とは、石鎚山を神体山とする神社で、山麓の口之宮神社、山腹の中宮成就社と土小屋遙拝殿、山頂の奥宮頂上社の四社の総称、とのことです。土小屋遙拝殿の方に訊いてみたところ、山頂の神社は11月3日に閉まってしまったらしく、山頂の神社で御朱印は頂けないそうで・・・月山のときといい、ことごとく山頂の神社とは縁がないようです。

出発してどんどん進んでいくと、徐々に石鎚山の全貌が見えてきます。この日は石鎚山の片面だけガスがかかっているようで、火山のような異様な光景でした。

登山道は降りてくる人がどんどん向かってきており、何人すれ違ったか分からないくらい大勢の人が入山していました。小学生くらいの子供も多くおり、それくらい安全なルートなのだな、と再認識。標高を上げると、なにやら分岐点が。

地図をあまり深く読み込んでいませんでしたが、土小屋ルートはロープウェイ乗り場からのルートと鎖場(二の鎖、三の鎖)直下で合流していたのでした。幸いなことに鎖場を回避するルートも用意されていたので、今回はそちらのルートを選択。普段なら迷わず鎖場に突っ込んでいたと思うのですが、さすがに傷めた右手で鎖場は危険です。


ほんのわずかですが雪もありました。

安全な道をどんどん上がっていくと、山頂の神社付近に到着。ここに至るまで降りてくる人しかおらず、山頂は誰もいなさそうだな・・・と思っていたらいきなり外国人男性が降りてくる。I made it!なんて言っていたので「おめでとう!」と返しつつ「他に誰かいますか?」と訊くと、神社の辺りには他にも人がいるし自分の仲間もいる、とのこと。登頂写真を撮ってもらえそうです。前日に行った剣山本宮宝蔵石神社も立派でしたが、ここの神社もまた標高1,900mを超す位置にあるとは思えない規模でした。


神社のある平地には何組か登山客が。

ここに至るまでに、よく写真で見る有名な石鎚山の光景を見ておらず、他のルートでしか見られないのかなと思っていたのですが、ふと神社の先に目を向けると・・・






どん!!

これか!!!!!神社がある場所が所謂「山頂」とはいえ、石鎚山の一番高い位置は間違いなくあのてっぺん。向かってみる以外に選択肢はなく、道もあったのでそのままおそるおそる先に進みました。途中、回避不能な鎖場が数箇所あり、傷めた右手があまり使えないのでいつもの何倍も慎重に進み、ようやく最高地点に到着。


石鎚山最高地点・天狗岳1,982m。


上の写真にもチラッと写っていますが、道はここから先もさらに続いていました・・・。

ちょうど一人登山者がいたので登頂写真を撮ってもらい、おそるおそる神社まで戻ることに。ブログを書きながら地図を見てみたら、山頂の神社から天狗岳までの道は破線になっていました・・・確かに間違いなく一般登山道ではない。往路ではガスって景色が殆ど見えなかったのですが、復路ではガスが少し消えており、なんとも幻想的な写真が撮れました。これが冒頭の、切り立った崖(キレット?)とその先に鎮座している神社の写真です。神社を通過し来た道をどんどん下っていくと、一瞬だけ太陽が姿を現し、これまた幻想的な石鎚山の姿を拝むことが出来ました。


なんとも言えない、不思議な光景です。


こんな感じの道を下っていきます。

車まで戻り、出発の準備を整えていざ出発。次の目的地は道後温泉です。既に翌朝8時半のフェリー(愛媛県・三崎港~大分県・佐賀関港)のチケットは予約してあるので、この日はあとは温泉に入って三崎港近くの道の駅に向かうのみでした。山道をどんどん下っていく途中、展望スポットがあるので急いでいたものの少し立ち寄って、車に戻って出発しようとすると・・・

エンジンがかからない!!

バッテリーが上がったならセルモーターがまわる音くらいは聞こえそうなものですが、うんともすんとも音がしない。普段から車に積んでいるジャンプスターターを使ってもエンジンがかからず、本気で焦りJAFにSOSの電話を入れる。偶然、この山道を下った先でガス欠に陥った車をヘルプしているJAFの方がいるそうで、その方が駆けつけてくれることになりました。バッテリー上がりの場合12,000円ですが、それでも直らなかった場合レッカー車の料金が700円/1km。もしそうなったら一体いくらかかるんだ・・・と、青ざめながら待っていると、30分くらいしてまずはこの道路の係員?の方が現れる。麓のゲートが18時に閉まるということでしたが、事情を説明すると「麓に連絡して開けておいてもらう」と、実に親切に対応して下さいました。さらに待つこと約10分。来て下さったJAFの方が「麓のゲートが18時に・・・」と非常に焦った顔をしていたのですが、先ほど解決したと説明。点検に移り、まずはエンジンオイルやバッテリーなど確かめ、どうやら異常なし。一体どういう・・・と思いながら、次にエンジンをかけようとすると・・・

「ん?」

なにか気付いたようでした。

「シフトレバーのレンジがPに入っていないですね」

え?まさかの展開で自分の思考回路が追いついていませんでしたが、どうやらDに入れっぱなしでエンジンを切っていたようでした。シフトレバーをPに入れなおしてエンジンを始動させたところ・・・

普通に始動する。

俺のアホー!!!!!と、このときばかりは本気で自分を呪いましたが、結果的に車には何の異常もないということとでまあ一安心。

急がば回れ
灯台下暗し

なんて諺が頭を過ぎりながら、「バッテリー上がりではなかったので点検のみということになり少し費用が下がります」という説明を受け、結果的には財布から諭吉さんが一人旅立つのみとなりました。自分のアホさ加減に嫌気が差しましたが、JAFの方を待つ間に偶然Facebookで流れてきた言葉にはなんだか救われました。

いつの日か振り返ってみたときに、
なぜ「その全て」が「そのように」起こったのか、分かるようになる。

ここ最近はトラブル続きでしたが、いずれも大事には至っておらず、結果的には良い経験になっていると思います。直った車で麓のゲートまで行き、ゲートの係りの方にお礼を言い通過。そのまま車を走らせて道後温泉に到着したのは20時。予定よりだいぶ遅れはしましたが、なんとかこの日予定していた行程は全てこなすことが出来ました。

実は父が愛媛県松山市出身で、松山には幼い頃何度か訪れたことがあります。記憶に残っているのは10歳の時にオーストラリアに発つ直前で、そのときのおぼろげな記憶に「道後温泉に至る商店街」というのがありました。記憶にある商店街とは少し様相が違いましたが、やはり商店街は存在しており、そこから道後温泉に至る道は記憶どおりでなんだか懐かしい気持ちに。


商店街入口。


入口脇には足湯が。帰りに立ち寄りました。


商店街の中。趣のある商店街で、一人より何人かでワイワイと来たい感じの雰囲気です。


道後温泉入口。昨年末の「ゆく年くる年」で見ていた姿と全く一緒でした(当たり前)。


温泉入口から少し左を写した写真。

温泉で前日からこの日に至るまでの疲れを癒し、車に戻ったらすぐに出発。旅館に泊まれるくらい余裕のある旅ならいいのですが、貧乏旅行中の俺は例の如く道の駅に向かいます。この日向かったのは翌朝乗るフェリー乗り場の近くにある道の駅・伊方きらら館。ずーっと海沿いを走るので、屋久島にいたときのことを思い出し、なんだか島にいるような感覚に陥りました(よく考えたらそもそも日本”列島”なので四国も島ですが)。着いたら車の中で少し休憩し、翌日に備えて就寝。異常に密度の濃い2日間はこうして幕を閉じたのでした。

※※※

11月14日、本日。6時半くらいに起床して、7時過ぎに出発、7時半くらいに港に着きました。


フェリー乗り場。

今回の旅で敦賀~秋田以来となる船旅です。車ごとフェリーに載せて出航し、到着後フェリーから車に乗って出発するというのは実に楽しく、個人的にはすごく好きな移動手段です。三崎から佐賀関まではわずか70分。乗ってからあっという間に到着し、到着したらすぐにスターバックス(例の如く)に移動。氷ノ山から今に至るまでの旅の日々を綴ったところです(朝10時45分からいます・・・)。明日は今のところ九重連山に登る予定ですが、それは今から計画することになります。

To be continued…

5件のコメント

  1. 四国でついにガソリン難民、増える限界集落にさもあらん。アクシデント、ハプニングに見舞われながらも素早い判断がいいね。たまにはミスもつきものです。色んな経験を楽しんで下さい。

  2. >nagoyadragonwoodさん
    石鎚山に行く際は要注意です。特に日曜日はかなり離れた市街地に行かないと補給できません。アクシデントやハプニングに見舞われているときは焦っているんですが、振り返るとそれはそれでいい思い出で、むしろ切り抜けた自分を褒めてあげたくもなります。細かいミスは他にも多々ありますが、なんだかんだ無事にここ九州までやってきました。残りの行程も楽しみながら進めたいと思います。

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