紅葉狩りの旅 PART II: 岩と氷の世界

日光編に引き続き、紅葉狩りの旅・谷川岳編です。この週末の旅の目的には「山の中で紅葉を見る」ことも含まれており、前日の日光は最高の紅葉狩りではありましたが山の中で見たわけではないのでまだ目的を達成していません。この日達成することになるのか、どうか───

10月25日(日)登山二日目

同じ一日を繰り返しているのかと思えるほど前日と同じ展開で始まる日曜日。4時前後に起床し谷川岳ロープウェイに向かいます。前日と異なり雨が降っておらず、この日は谷川岳ロープウェイの駐車場まで突っ込みました。駐車場はそこそこ埋まっていましたがまだ停める場所を選ぶ程度の余裕はあり、出口に近めの場所に駐車。あまり早く出ても外は真っ暗でかなり寒いので、ここであえて仮眠を取るという選択をしました。あとから振り返ってみればこの選択は大正解でした。車を改めて車中泊形態にして仮眠を開始したのは4時45分。寝られるのかと心配でしたが普通に即爆睡でした。6時前に起きたら周りに車が増えており、こちらも支度して6時過ぎに出発です。このときも前回谷川岳に登ったとき同様、登りは西黒尾根で下りは天神尾根~田尻尾根を経由します。西黒尾根の起点に到着したのは6時35分くらいでした。

登山口にて
登山スタート。

出だしは曇っており、木々は一部紅葉していましたがやはり青空を背景にしないと映えません。この日は身体が比較的軽く、前日と違ってスイスイ登っていけました。やはり前日馬力が出なかった原因は寝不足だろうか。そして歩き始めて1時間くらいの時点でようやく青空が見え始めました。

ようやく青空

記憶ではこの前後(おそらくこの時点より前?)に若者4人組が降りてきてすれ違いました。日帰り装備の4人で、この時点で降りてくるということは途中で引き返してきたと考えられます。風がかなり強く先の状況が不安になりながらも、前日購入した手袋(俺)とニット帽(先生)を信じて先に進みました。そして8時前に森林限界を超え、遠方にロープウェイ乗り場が見えてきます。結構上まで来ておりこの時点でそれなりに紅葉の絨毯を見ることはできましたが、空がどんよりしているのでややいまいち。8時過ぎの時点で山頂を見上げるとこんなことになっていました。

くもくも。。。

絶望としか言いようがありません。万が一晴れなかったら山頂タッチしてすぐに引き返そう、なんてネガティブなことを言いながら登るポジティ部の部員ふたり。モットーは「期待しない」です。そしてここから先は鎖場も点在する岩がちな登山道に変化していきます。8時20分くらいに「ラクダの背」と呼ばれる広い場所に到着。この時点でもまだ山頂は雲の中でした。ただこの時点で左右には青空が見えており、山頂付近は風が強そうにも見えたので雲が飛んでいくのではないかという期待もありました。

あの尾根を越えて

目の前には小山があり、まだ先は長く人は米粒のよう。「大丈夫か」という俺に対して先生はこう返す。

「大丈夫。いくつもの山を越えてきたんだから」

今年は蓼科山に始まり常念岳鳳凰三山など厳しい山々を文字通り越えてきた先生。頼もしい登山女子に成長しました。

いい眺め、巻機山

左奥の雪を冠った山は巻機山。この景色がなかなかいいものでした。別の方角では遠方にうっすらと富士山も見えていました。そしてここにきてようやく山頂がその姿を現し始めます。

ついにその姿を

白い。

想定よりも白い。これは間違いなく山頂は寒いぞ、と気を引き締めて臨みました。駐車場に到着してから仮眠を1時間取っていなければ1時間早くこの位置にたどり着いており、その場合ここで山頂の姿を拝めていません。この日出発の時間を遅らせたのは大正解で、前日YAMAPの記録を見えておいたことも正解でした。さて、岩ばかりの道(?)を歩き慣れていない先生に手足の位置を伝えて手助けしつつ高度を上げていきます。

白い山頂
山頂が近づいてきています。

圧倒的迫力
迫力のある岩肌です。

そして9時25分くらいにようやく肩ノ小屋と山頂の分岐地点に到着しました。いつ見ても雰囲気のある道標です。

雰囲気良き

景色良き
肩ノ小屋方面。こちらもいつ見ても絶景。

この時点で山頂の上空は青空。晴れているうちに山頂に行こう!ということで間髪入れずに山頂に向かいました。そしてここからは遮るものが何もない稜線で

鬼寒い。

10月末とは思えないとんでもない寒さ。気温が低いこともさることながら、風が強くて冷風が肌に突き刺さります。10分程度でトマの耳に到着。

くそ寒い其の一
上着装着前。笑顔ですが凍えてました。

そこにいた人に登頂写真を撮ってもらったらすぐに風を防げる場所を探して持参した上着を装着。前夜コメリで買った手袋が超絶役に立ちました。正直この手袋がなかったら厳しい戦いを強いられていたと思われます。そして先生はこの旅に厚手のジャケットを持参していなかったので俺の上着をレンタル。このとき貸したのは2016年3月のロンドン出張時に買ったジャケットですが未だに主戦力で非常に重宝しています。このジャケットを購入した数ヶ月後に全国を巡る旅に出たわけで・・・懐かしい。そしてここからオキの耳に至る道がもはや

冬山。

移動開始後すぐに急な下り坂がありますが凍った斜面でかなり緊張しました。あの道が続くようなら少なくとも軽アイゼンが必須でしたが急坂はすぐに終わったのでホッと胸をなでおろします。

もはや雪山
もはや雪山の様相。

まだ少し先
オキの耳はまだ少し先。

白すぎる
日光白根山以上に白い。

そして9時45分くらいにオキの耳に到着。ここもまた鬼寒かったのですがせっかくなので写真を撮ったりと少し滞在しました。5分程度だったと思いますが・・・

くそ寒い其の二
フル装備一歩手前。

こちらは曇り
巻機山や越後駒ヶ岳の方面は曇ってきていました。

目の前には武尊山
正面に武尊山。右奥の方の尖った山は未踏の皇海山。

寒すぎて長居していられないので5分程度でUターン。まずはトマの耳まで戻ります。相変わらず谷川岳は天候が安定しておらず、やっと晴れた山頂上空がまた曇り始めていました。

どんより
こんなことになってきていました。

THE迫力
あちらがトマの耳。

稜線は雪、少し下は緑、さらにその下は紅葉というグラデーション。実に特異な光景も見られました。

白と緑と赤と。

10時過ぎにトマの耳まで戻り、そのまま肩ノ小屋を目指します。

なかなかの絶景
なかなかの絶景。

クローズアップ・小屋
小屋が近づいてきました。

そして10分かそこらで小屋に到着。小屋の外で風を防げそうな場所を探し早速食事の準備に取り掛かりますが

寒い。

寒すぎる!凍えながら食事の準備をして食後に暖かいものを飲み、11時前後に再出発したと記憶しています。あまりにも寒くて座っているだけでも体力を奪われます。天神尾根を一気に駆け下りていきますが岩がつるつるで歩きづらい。何度も転びそうになり、そして宙に浮いている感覚があるくらい見事にすっ転ぶ。尻から落ちて幸いどこも怪我はしませんでしたがおかげでこの日は一日中尻が痛かったです。山頂付近は曇っており天神尾根も最初のほうはどんよりしていましたが、標高が下がるにつれて青空も見え始めました。そして遠方に見える紅葉の絨毯が素晴らしい!

紅葉の絨毯!

紅葉の絨毯!アップ

これでようやくこの週末の旅の目的である「山の中で紅葉を見る」を達成しました。岩稜あり氷ありでさらに紅葉ありと、この日の谷川岳は実に楽しませてくれました。ここから天神尾根、田尻尾根と紅葉を見ながら下っていきます。

青空と紅葉と

鮮やかな赤と黄色

かわいい落ち葉

田尻尾根に入ってすぐの頃こそはしゃぎながら歩いていましたが、景色が変わらずさらに道が泥濘していて歩きにくいうえに徐々に曇っていく。相変わらず長い田尻尾根です。ここをトレランで駆け下りていった外人の男女二人組はどうやって転ばないように走っているのだろうか・・・。飽きたと叫びながらも13時前後に田尻尾根の起点に到着。ここから先は砂利?の道を駐車場まで歩きます。ゴールはあとわずか。紅葉した朝日岳を目の前に歩くのは実に気分がいい。

朝日岳と俺。

こっちも紅葉。
左を向いても紅葉。

そして13時半に駐車場到着。登頂できるかと心配だった谷川岳でしたが無事登頂し下山することができました。前回来たのは2018年の10月29日とほぼ同時期。にもかかわらず山の様子がまったく異なるあたり、その年その年のコンディションを見て計画を立てないといけないなとひとつ勉強になりました。特に装備の面で、使う予定がなかったとしても念のため手袋や上着を車に積んでおいたほうがいいと感じました。さて、荷解きしたらすぐに温泉へ。例の如く向かったのは通算5回目となる「鈴森の湯」。今年だけで武尊山のとき以来2回目となります。少し外れたところにあり谷川岳側から行く場合大通りから右折して向かうことになりますが、この日は同じ方向へ向かう先頭車が4台程度いる。「全員鈴森の湯に向かうかもよ?」なんて冗談をかましていたら

本当にそうなる。

あまり混んでいないから好んで利用しているのに・・・秘湯は秘湯のままでいてほしい!とはいえ駐車場は狭いものの温泉自体は比較的広いので人数はあまり気にならずゆっくりと浸かることができました。温泉のあとは再び道の駅・みなかみ水紀行館へ。いったいこの旅で何回ここを訪れるのか。初めて明るいうちに訪れたこの道の駅は思った以上に駐車場が埋まっており賑わっている。我々が思っている以上にみなかみは人気なのかもしれない(失礼)。会社へのロビー活動(?)用にお土産を購入したら近くのガソリンスタンドで給油してすぐに高速に乗り帰路へ就く。この日の高速はかなり混んでおり、ナビは距離的な最短ルートではなく足利方面を選択していました。が、そっちもまた渋滞予測が出ており、足利あたりからなら高速でも下道でもさほど変わらないので高速を降りて下道で帰る事にしました。19時半前後に近所のスーパーに到着、改めて給油し20時前後に帰宅しました。

こうして二日間にわたる日光~谷川岳を巡る紅葉狩りの旅が終了しました。思った以上に山が冬支度を始めている(むしろ凍っている)というハプニングやそれに伴う装備不足という問題がありながらも、無事二つの山に登頂し見頃の紅葉を大満喫できた山メンふたり。書いても書いても書き終わらない今年の山行記録はまだまだ続いていきます。

弾丸日帰り丹沢山編へと続く───

3件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください