65座目の百名山: 越後駒ヶ岳

月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり────

2016年の旅で辿ったおくのほそ道の冒頭の文です。過ぎていく時間が旅人だとしたら、おそらく人それぞれの生き方が旅そのものであり、パッとしない毎日を過ごすというのは旅人につまらない旅をさせるようなものだと思う。それが仕事であれプライベートであれなんであれ、日々訪れる選択の結果が今であり、生き方という旅を計画するのは自分自身に他ならないわけである。

こんなことを思うのはここ最近パッとしないなと思っているからに他ならず、今後の生き方、旅の在り方みたいなものを常に頭の片隅で考えています。

お盆に敢行した『新潟長野・山の旅』は実に充実した旅でした。仲間と考え実行に移した選択肢がすべてピタリとハマり、密度の濃い4日間は今思い出しても胸が躍ります。そんな密度の濃い旅のような生き方ができないものか──ここ最近のテーマです。

充実した4日間の山の旅を旅前夜から振り返っていきたいと思います。まずは登場人物紹介です。

チーム紹介

山仲間「I」。氷壁、クライマーズ・ハイ、春を背負って、と相変わらず読み物は山岳小説です。写真はこの旅の最高地点である乗鞍岳山頂。
筆者「俺」。最近読んだ山食の「迷ったら北でしょ」という一言が妙に胸に刺さっています。写真は妙高山山頂付近で撮影、バックにはその翌日登った火打山。

山の旅の山第一弾は越後駒ヶ岳です。

旅前夜:8月10日(土)

旅の記録は旅前夜の8月10日(土)から始まります。会社から急いで帰り、最寄の駅近くのトンカツ屋で夕食を済ませたら帰宅しシャワーを浴びて車を拾いすぐに出発です。慌しい旅の始まりです。埼玉某所でI氏を拾い、給油を済ませたら高速に乗り目指すは新潟方面。急いで動いてはいましたが給油したのが23時前と少し遅いスタートです。小出ICを降りてすぐのセブンで翌日の朝食など買い込んだのが日をまたいだ午前1時半。しんどいです。そこから目と鼻の先の道の駅・ゆのたに深雪の里がこの日の宿(?)。非常に家畜くさかったことが記憶に残っています。翌日に備え、到着してすぐに就寝しました。

旅初日:8月11日(日)

かけておいた目覚ましに5時半に起こされ、6時出発。もちろん午前です。この日の目標は越後駒ヶ岳。登山口のある枝折(しおり)峠に到着したのは6時45分。ロングルートの越後駒ヶ岳を登るにはすでにかなり出遅れており、駐車場は全て埋まっていたためやむを得ず路肩駐車となりました。

車とYK

上の写真は支度中の俺ですが、この日目指したのは写真中央奥にある山頂です。めちゃくちゃ遠いです。越後駒ヶ岳は登り6時間20分、下り4時間50分のロングルート。初日からハードな選択肢ですが全国の天気予報や行きたい山などを照らし合わせて総合的に登ると決めた山でした。

強ェとわかってんだから…始めから全開だ!!!(ルフィ)

旅の始まり
ついに旅の始まりです!

登山開始は6時50分。開始後すぐに現れるのは滝雲のビュースポットでした。滝雲は早朝によく見られるらしく、この時間帯はすでに残がいのような滝雲しかありませんでしたがそもそもの眺めが抜群のスポットでした。ここで会話したおじさんと下山中にすれ違うことになります。こちらはそんな雲の残骸をとらえた写真。

中ノ岳

遠方に聳えているのはおそらく越後三山・中ノ岳であると思われます。八海山、中ノ岳、越後駒ヶ岳からなる越後三山は地元の方々には三山の頭文字をとって「はなこさん」の愛称で親しまれているのだとか。他の登山者の記録を見ると越後三山縦走みたいな記録も見られますが、今回は越後駒ヶ岳へのピストン登山です。

さて、越後駒ヶ岳登山の続きです。地図の地形と実際の現地での山の形状を見て、枝折峠から越後駒ヶ岳への道は比較的なだらかな傾斜の道がひたすら進むであろうと予測を立てていたので序盤から全開で飛ばしました。そして実際に予想通りの単調な道が続き、かなりの人数を追い抜きました。

駒ヶ岳はまだ遠い
こんな道がひたすら続きます。

かなりの人数を追い抜きつつも、一組だけ鬼のように速いスピードの男性二人に追い抜かれました。その後ついにすれ違うことのなかったあの二人はどこで下山したのだろうか。あのスピードなら越後駒ヶ岳を越えて中ノ岳あたりまで行っても往復できる気がします。我々もそんな彼らに負けず劣らず高速で進んではいたのですが、時間が経過するにつれ気温がどんどん上昇し

暑すぎる。

巻機山の悪夢再来、というより巻機山よりも暑い越後駒ヶ岳でした。時間が経てば経つほど気温が上がっていくのを肌で感じていたので、とにかく早く山頂にたどり着くためいつにもまして猛スピードで進んでいきました。

小倉山

上の写真は越後駒ヶ岳への道中にある『小倉山』という山。何人か登っている人たちも見えます。写真を撮った時点からそこまで間をおかずに小倉山に到着しており、ログを見返してみると小倉山の山頂に到着したのは8時10分。登山開始からわずか1時間20分です。コースタイムを見てみると登山口から小倉山までは3時間20分。ということは

コースタイム x 0.4

で歩いていたことになります。いったい我々はどこに向かっているのだろうか。

さて、小倉山からもガシガシ進んでいくことになりますが、I氏の様子が少しおかしい。「すこし目眩が…」とか言い始め、どうも熱中症の疑いがありました。この日の越後駒ヶ岳登山道はじっとしているだけで体力を奪われるくらい暑く、休憩もままならないような状況でした。I氏がバテ始めたあたりは位置的に登山口よりも山頂方面のほうがかなり近く、また山頂直下には小屋もあるので様子を見ながら前進することにしました。

山頂手前の小屋のさらにその前に、まずは前駒というちょっとしたピークを目指します。前駒までの登りを”超キツかった”と記録しているあたり、登りの難所はここだったと思います。とはいえ小倉山から1時間程度で前駒に到着しています。

THE新緑!
前駒あたりから撮影。すごい緑です!

越後駒とYK
越後駒方面を眺める俺です。

前駒から駒ヶ岳のちょうど中間あたりに駒ノ小屋という山小屋があります。前駒で少し休憩したらまずはそこを目指します。前駒の先は岩場が連続し雰囲気が一変しました。そろそろ休憩しようか…と思っていたところに現れたのが

山上のオアシス

山上のオアシス。

飲み水が用意されていたのですかさず水分補給。超絶美味い!!駒ノ小屋に到着したのは9時半くらい、登山開始から2時間40分くらいでした。ここまでのコースタイムは5時間50分なので、コースタイムの半分以下の時間でたどり着いたことになります。小屋のおじさんに何時に出たのかと聞かれたので出た時間を伝えると「速すぎる!!」と大いに驚かれました。いやおじさん、これでもI氏の本調子ではないのですよ。5分弱休憩し、山頂に向けて出発。山小屋から山頂へはコースタイムで30分でしたが目測ではそこまでかかるようには見えませんでした。

真夏の雪渓2

山頂に向かう途中には雪渓もありました。巻機山にもありましたが、こんなに暑いのに雪渓が残るというのはどんな自然のメカニズムなのだろうか。※この写真は下山時の写真です。

越後三山分岐
山頂直前には中ノ岳と駒ヶ岳山頂への分岐があります(この写真も下山時撮影)。

山頂はすぐそこに
あれが山頂、もう少し!

そして…

乙!
どうみてもバテているI氏。お疲れ様!

到着!目測どおり小屋からは30分もかからず、15分くらいで山頂に到着しました。山頂到着時刻は9時50分少し前。結果的にコースタイム6時間20分のところを山頂に3時間かからずに到着してしまいました。この日は暑すぎましたが実に快晴で、周りの山々も遠く見渡せました。

おそらく巻機山
写真中央遠方で雲がかかっている山がおそらく巻機山です。

山頂には思ったよりも人がいて、座れるスペースぎりぎりといったような状況でした。昼食をとりながら40分弱の大休憩をとり、下山開始。下山を開始するあたりの時刻で山頂がガスり始めていました。

壮観
下山中、駒ノ小屋が見えています。山の片側に雲がぶつかっています。

いつの間にやらガス
振り返れば山頂がガスっている。

下山開始直後にI氏と盛り上がったのは「山頂喫煙問題」。越後駒ヶ岳の頂上ではタバコをスパスパと吸っている輩がいて普通に煙い。喫煙者にとって山頂での煙草はおいしいみたいなことを聞いたことがありますが、非喫煙者からするとまあできればご遠慮いただきたいというのが本音ではあります。個人的には煙いというのはもちろんのこと、山火事につながりかねないのでやめたほうがいいのではとも思います。

さて、下山は登り以上の灼熱地獄でした。気温が非常に高く、特に遮るもののない稜線上を歩いているときやアップダウンがそれなりにある道を歩いているときは本当に地獄でした。歩いていても暑いのですが、この日は無風に近かったので立ち止まって休憩しようとしてもじっとしているだけでどんどん体力が奪われる始末。もうこれはさっさと突破するほかない!!ということで、特に最後のほうは半分走りながらの下山となりました。

おそらくノリウツギ
ノリウツギ。下山時に見かけたアジサイ科の花です。

猛ダッシュでの下山の末ようやく登山口に戻ってきたのは12時40分。合計6時間弱の登山です。越後駒ヶ岳はとにかく「暑かった」の一言に尽きますが、これで2019年の新潟の山第二段、そして65座目の百名山となりました。下山後の駐車場から見た越後駒ヶ岳は雲に覆われており、非常に疲れましたが猛スピードで山頂に向かって結果的には良かったのではと思います。

あんな状態に

ログ
このときのログ。登りのみつけました。なだらかな山容が分かるグラフになっています。

いつも以上に猛烈な汗をかいたので、とにかくすぐに温泉!!調べたところすぐ近くに銀山平温泉という温泉地があり、その中にある白銀の湯という温泉に向かうことにしました。7km先にある銀山平温泉はロッジが建ち並ぶのどかな場所で、貸し自転車があったりなど温泉全体で自然にかかわるアクティビティを楽しめる施設といった趣でした。おそらく越後三山に登ったのであろう登山客で実に賑わっていました。

外がカンカン照りだったので温泉から出た後は軽く水洗いしたアンダーレイヤーを地面で乾かし、その間にこの日のその後の予定を立てるべく天気など調べ始めます。もともと翌日は妙高山に登ることを予定しており、調べたところこの時点で翌日の天気はなんともいえない感じではありましたがほかの山に転戦する場合でも同じ方角に向かうことにはなるので、とりあえず妙高市方面に向かうことにしました。干したアンダーレイヤーを回収したら早速出発です。

まずは前日高速を降りた小出ICまで向かうことになりますが、この道中通った『奥只見シルバーライン』がすごい!!全長約22.6kmの奥只見シルバーラインは区間の約8割がトンネルで、このトンネルの内壁が素掘りなので思いっきり岩肌が露出している。シルバーライン上で全19本あるトンネルのうち、この日は17本を通ったのでほぼ全区間通ったことになります。本当に

なんなんだこの道は

と突っ込みたくなる不思議な雰囲気の道(トンネル?)です。Wikipedia曰く「江戸時代に奥只見地区で銀が産出されていたことに因む」のだとか。

市街地に出て小出ICから高速に乗る前に給油を済ませ、朝食を買ったのと同じセブンで軽く昼食。時刻は15時半くらいです。小出ICから関越自動車道に乗り、前日降りた地点からさらに先に進み北陸自動車道に入ります。上越市に差し掛かったあたりで「登山口に至る前に夕食を済ませてしまったほうが良いのでは」という話になりまずは主に海鮮系で検索を開始。が、高速近辺であまりいい店が見つからず、とりあえず上越ICで高速を降りて国道18号線を妙高市方面に向かって南下。いろいろと調べた結果、海鮮からは程遠い『とん汁の店たちばな』に行く事にまとまる。

店構え
こちらがとん汁の店たちばな。

17時あたりに着いたと記憶しており、少し待ちましたが割りとすぐに入店できました。そして出てきたとん汁がこちら。

THEとん汁

でかい。

とん汁セットの大を注文するとこのインパクトのとん汁が現れます。付けあわせとしてのとん汁ではなく、完全にメインディッシュです。汁が濃厚で、人生で食べた中で(数えるほどではあるけれど)間違いなく一番美味いとん汁でした。蛇足ですが、店員さん(店長さん?)に阿蘇出身の方がいて、四国・九州旅の際に買った南阿蘇モンベルTシャツを着ていたI氏がからまれていました。連れが紛らわしく恐縮です。

とん汁を食べながら各地の天気の最終チェックを行ったところ、妙高山が悪くない天気だったのでここは初志貫徹、翌日は妙高山に登ることに決めました。妙高山の登山口は燕温泉という温泉街にあり、無料駐車場が広そうなので車中泊できることを期待して登山口まで突っ込むことに。そして突っ込んだ燕温泉の無料駐車場はそこまで混んでいない上に余裕で車中泊できそうな雰囲気でした(トイレつき)。

前夜あまり寝ておらず、さらに翌日は少しでも涼しいうちに出発しようということで朝4時起床予定になったのでこの日は20時に就寝。車中泊用の扇風機を家に忘れ暑くてあまり眠れないというハプニングもありましたが、旅に忘れ物はつきものということで…。

二日目に続く→

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