表銀座ルート。北アルプスの数ある縦走路の中でも特に人気のこのルートは燕岳から槍ヶ岳まで至る道を指しており絶景が見られることで有名です。このルートから少し外れますが、燕岳から大天井岳に至り、そこから常念岳、蝶ヶ岳を経て上高地に下るルートもまた人気で多くの人が歩いています。この燕岳から上高地へのルートを歩こうと初めて挑戦したのが2015年のこと。日本全国を巡るのよりも前で初めて一人でテント泊に挑戦した山でした。結果的にこのときは天候悪化により大天井岳から先へ進むことは断念し中房温泉に戻ることになりました。あれから6年。あのとき歩けなかった大天井岳から先のルートを歩くチャンスが訪れました。まずは今回参加したメンバーを紹介したいと思う。
チーム紹介
6年越しの再チャレンジがどうなったか、早速あの素晴らしい縦走を振り返ってみたいと思う。
8月27日(金)登山前日
20時40分に先生と合流したところまでを書いた前回のブログ。今回の旅はそこから始まりました。雨ばかりの8月、ようやく晴れ予報の週末になり火打山以来の登山となりました。この日向かった先は以前I氏とちゃんMの3人で燕岳に登ったときと同じ「かじかの里」。俺と先生、I氏とOGTという2グループに分かれて2台の車で向かいます。火打山同様、今回も車が2台あることを活かして入山と下山口を別の場所に設定します。俺と先生が合流した時点でI氏とOGTは既に合流を済ませており、彼らは22時半ごろかじかの里に着く予定とのことでした。
さて、俺と先生が合流後まず向かったのは例の如くすき家・甲州街道柴崎店。今年4回目の訪問となります。その後、記憶では先生が移動しながら丼を車内で食べて、どのIC(もしくはPA)か記憶にはありませんがどこかしらに立ち寄り先生が着替えたりなど軽く準備を整えつつ俺はそこで飯を済ませ、到着時刻を鑑みて翌日の荷物の準備を済ませるなどあえて時間を使い高速を降りる時間が0時を過ぎるように調整したと記憶しています。その後おそらく原PAあたりで追加で時間調整を行い、結果狙い通り0時過ぎに高速を降りて深夜料金での課金となりました。早く寝られない以上、せめてこれくらいのボーナスがないと、ね・・・。0時15分過ぎかそこらに高速を出てまずはファミマ安曇野インター店で翌朝のおにぎりを購入。購入した時点で0時20分。翌朝起きられるのか心配でしたがそれ以上にガソリンが心配だったので近くのガソリンスタンド(ジェイクエスト豊科店)にて20L給油。いずれにせよ帰りもここから高速に乗るので多く入れておこうということでこれだけ入れたと記憶しております。
ガソリンスタンドを出たのが0時半くらい。改めてかじかの里に向かい、すぐに到着したもののI氏の車が見当たらない。23時の時点で到着しており3時40分に起きるという連絡を受けていたのでどこかにいるはずです。結局車は見つかったもののI氏のテントは見つからず、とりあえず近くに停めてこちらも寝る準備をします。初めてのフルフラット仕様での車中泊は「思ったよりも圧倒的に広い!」という印象。今後このスタイルが定着します。このとき初めて畳むタイプのマットレスを使用しましたが起きたとき腰が少し痛く自分には合っていないような気がしましたが、使用を重ねるごとになじんで(?)いったように思います。1時前後に就寝。記憶では4時か4時前には目覚ましをかけていたように思う・・・。
8月28日(土)登山初日
そして迎えた朝、時刻は4時前後。とんでもなく眠い。I氏とOGTはテント泊していたようで早速出発の準備をしていました。こちらも鬼眠いなか準備を整え、全員の準備ができたら早速出発。向かうのは一ノ沢登山口の駐車場です。今回のプランは
- 2台で常念岳の登山口である一ノ沢に行き車を停める
- 俺と先生の荷物をI氏の車に移し、俺の車は一ノ沢の駐車場に置いたままI氏カーで燕岳の登山口である中房温泉へ移動
- 翌日は常念岳から一ノ沢へ下山し、俺の車で中房温泉まで移動
という車が2台あることをフルに活かしたプラン。俺の車がブレーキ周りで異音を発していたことを除いてすべて順調でした。到着した一ノ沢駐車場は相変わらず大賑わい。まだ5時かそこらだというのにみんな行動早いです。前に来たときの経験でまずは一番上まで行き、Uターンして降りながら駐車スペースを探すという作戦で登山口からそこまで遠くない駐車スペースを確保。乗り換えてI氏の運転で中房温泉に向かいます。
ところがここでハプニング発生。満車の可能性ありといったことが書かれた看板が出ているな、と思ったらピアスをつけた若いお兄さんが道をふさいでなにやら誘導している。近づいてみると「上は第4駐車場まで含めて満車です。しゃくなげの湯からバスが出ているので一旦戻ってください」・・・
なんだって!?
場所は記憶では有明山神社の前あたりで、中房温泉までは車で約30分程度の距離。しゃくなげの湯は10分程度戻った位置にあり登山口から離れてしまいますが仕方がないのでUターンして戻りつつ、タクシー会社を探して早速電話してみます。時刻は5時30分を過ぎたあたり。登山が始まってもいないのに早速ピンチでした。
- 安曇観光タクシー
- 明科第一交通
- 南安タクシー 豊科本社
の3箇所かけていずれも全てのタクシーが出払っており配車不可。しかも次のバスの時間は6時50分とのことであと1時間以上あります。そんなに待っていたらプランに大きく影響してしまう!とりあえず期待をかけてタクシー会社の拠点を安曇野周辺から大町市まで広げて探し、4箇所目となる
- アルプス第一交通
に電話してみることにしました。ダメもとでかけたこの会社でしたが「今ちょうど中房温泉から降りている車が一台いるのであと10分くらいで到着しますよ」とのこと・・・
なんだって!?
朗報過ぎる!もちろんお願いし、そのまましゃくなげの湯に向かいました。まさかこの短い移動中にタクシーの手配が完了するとは思いもよらず、北岳の下山後の乗合タクシーといいタクシー運?はあるみたいです。この時点で時刻は5時43分でした。しゃくなげの湯の前の駐車場に到着し、ザックの準備をしたり先生がコンタクトレンズを入れたりしていたら10分どころか3分程度でタクシー登場。むしろ早すぎてこちらの準備がまったくできていない。慌しく準備を済ませてタクシーに搭乗。通常、車で行く場合は中房温泉の少し下にある駐車場に停めて歩いて登山口まで登ることになりますが、タクシーの場合は直接登山口のある中房温泉まで突っ込んでくれます。4人いることで一人あたり1790円で済ませることができました。トラブルへの対処費用としては上々です。
中房温泉に到着したのはおそらく6時半ごろ。トイレに行ったりなど支度を済ませて6時45分ごろようやく登山開始です。中房温泉の駐車場が満車というハプニングに見舞われ起床してから2時間半経ってのスタートでした。
駐車場が満車ということで当たり前ですがすごい人です。前々日用意し事前に印刷しておいた登山届を提出したら早速出発!2021年17回目の登山です。この日は快晴で気持ちのいい樹林帯ウォークから始まりました。
9時5分、地図上誤植がありコースタイムが分かりづらいですがおそらく30分程度早く合戦小屋に到着しました。3回目にして初めてスイカが食べられる時期にここに来た俺!もちろん全員でスイカを食します。
スイカが美味しすぎる!!パワーが漲ります。先生はここでスイカ手ぬぐいを買っていました。あの可愛さにはやられますよね。さて、9時24分あたりに再出発。燕山荘を目指します。のんびりしていた20分程度でかなりの人が通過していっており、この先の道は大渋滞。遅い集団がいたので追い抜こうと少し駆け足で登りますが、あの瞬間足に少しピキッときたのがあとからかなり響く事になろうとはまだこのときの俺は知らない。
この日の目的地である山小屋。最後の坂がかなりきついのが分かる。
槍ヶ岳がばっちり見えている!ここまでの数週間、悪天候ばかりだったので天気がいいだけでテンションが俄然あがります。この先の北アルプス三大急登と呼ばれるあたりを通過しているあたりから、両太ももとふくらはぎに違和感を感じ始めます。肉離れを起こしかけているような嫌な感じ。だましだまし歩いていましたが、あと少しで燕山荘というところで一歩出すごとに両太ももとふくらはぎが攣ったような状態になり歩くのも大変な状態になってしまう。これはかなりやばい!と焦ります。先生が使っていたストックを一本拝借し、3人には先に燕山荘まで行ってもらうことにして少しその場で休憩。ほぐしながら少しずつ進みますが普通に歩くのもままならない。山でこんなことになるのは初めてです。どうにかこうにか燕山荘には到着しますが、残りの階段を登るのがつら過ぎて少し休憩してからみんなのもとに合流。
先に燕山荘に着いていた先生に撮られていた俺。最後の階段もきつかったー。
先行して到着していた3人に追いつくかたちで俺も到着。めっちゃ時間かけた印象でしたが1時間半のコースタイムに対して1時間での到着。コースタイムが余裕見すぎなのだろうか。4人揃ったところで集合写真、奥には燕岳。気功砲ではなく鮎美ちゃんのおにぎりポーズです。
さて、脚がすぐには治りそうになく頭の中には撤退も少しよぎっていましたが、まずは回復に努めるべく残りの3人に燕岳に行ってもらい自分は燕山荘の前で長い休憩をとることにしました。カリウム不足だったのだろうか?この後も何度か山に登っていますがこんな症状はこのときだけでした。前日の極端な睡眠不足が影響していたのかもしれません。
ここから先の写真は今回俺は登っていない燕岳への往復時の写真。I氏共有の写真やOGT共有の動画にはこんな標高高いところで俺の嫌いな蝉が写されていましたがそれはもちろんブログには載せません。
立山~剣岳のほうには嫌な雲が。
燕山荘と、その遥か先にはこの縦走の最終目的地である常念岳が!
残り3人が燕岳に行っている間に仮眠をとったりと極力体力の回復に努め、全員が戻ってきた11時半前?くらいにはなんとか歩けるくらいには回復していました。
戻るか進むか本気で悩みましたが、下山に要する時間に1時間追加すればこの日の目的地である大天荘に着くので自分の脚を信じて先に進むことにしました。
上の写真からものの10分足らずで槍ヶ岳の穂先が雲の中に隠れてしまい、その後西側からすごい勢いで雲が迫ってきました。出発して45分くらいであたりはこの状況。
あのへん雨降ってそうだな~、なんて話をしていたら歩いている稜線上も小雨が降ってくる。他のブログでも何度も書いていますが本当に山の天気は読めません。大下りノ頭にコースタイムよりも20分早く到着。脚の状態は悪くありませんでしたがあまり飛ばさずにペースを保って歩きます。ここから先、まずは大天荘と大天井ヒュッテへの分岐を目指します。曇天の中歩き続けて分岐に到着したのが13時40分。コースタイム3時間のところを2時間10分で着いていました。さて、問題はここから。前回ここに来たときもキツかった記憶がありましたが今回も
鬼キツい。
坂がゆるいように見せかけて結構傾斜がきつく、さらにこの日はちょうど大天井岳に雲?ガス?がかぶさっており目指している山小屋どころかあとどれくらい登ればいいのか道がよく見えない。ゴールが見えない中登るというのは精神的に堪えます。数分に一度座って休憩、を繰り返す4人。辛さの瞬間最大風速で言えばあの鳳凰三山を超えていたかもしれない、この坂道です。ひたすらしんどい登り坂を休憩しまくりながら進み、ようやく山小屋に到着したのが14時10分過ぎ。朝4時から活動していたみんな、ご苦労様でした!!
受付を済ませて、まずは3つテントを張ります。この日は俺とI氏がそれぞれのテントに、先生がOGTのテントに入るというテントプランでした。いい場所を探してなんとか3張り横並びで設置できる場所を発見。この時点でかなりのスペースが既に埋まっていました。場所は2870m。今年の中では北岳に次ぐ高い場所でのテント泊です。5年前に来たときも天気がこんな感じだったことを思うと大天井岳と相性悪いのだろうか?なんてことを思いましたが後から思えばこれは杞憂でした。
テントを張り、各自落ち着いたらベンチに集合して乾杯です。
いつぞやの山食缶つま。
時刻は15時40分ごろでしたが風がすさまじくとにかく寒い。暑い場所で冷えた生ビール、というのをなかなか味わえない先生ですがこれはこのあと登ることになる八ヶ岳までお預けです。そしてここで事件発生。一口くらいしか飲んでいない先生のビールがあまりの強風に
倒れる。
テーブルにビールを飲ませてしまった!!ブログにも書いていない2014年11月(7年前!)に山仲間Oさん、O部長らと登った西上州の山でOさんが山頂でビールを半分くらい山に飲ませてしまったことを思い出しました。山にハプニングはつきもの。どんまい先生・・・。天候が悪化してきたので時間の経過で回復することを期待して一旦テントに撤収。このあと2時間半?くらい待ちましたが一向によくなる雰囲気はありませんでした。雨と風でテントがあおられてテント内はすさまじい騒音と揺れ。落ち着いて寝られたものではありません。18時半から19時の間くらいにOGTのテントに集まり食事を摂ります(さば缶梅じそ風味もふりかけもまあまあでした)。そしておそらく20時を過ぎたころ。先生が外を覗いてみたら・・・
星空!!
いつの間にか雨が止みあたりは一面の星空。火打山も素晴らしい星空でしたが標高が高いからかこちらのほうがより鮮明に近くに見えていたような気がします。すごい!!!と、4人で歓喜の声を上げました。風が凄まじくさえぎるものがない場所では結構寒かったものの、とにかく星空が最高すぎる。先生に「もし大事なことを伝えられるとしたら山の上はどうか?」なんてことを聞いたのも今では懐かしい思い出です。頑張って一眼レフで星空を撮影するI氏。あたりをぶらぶら歩く残り3人。各々満点の星空を満喫していたら少し雲が出てきたので、全員一時的にOGTのテントに撤収。実にいいものが見られました。OGTのテントに先生を残し、I氏と俺はそれぞれのテントに戻り就寝。翌日は再び4時台起床、朝一で狙うのは御来光です。
二日目に続く→
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