58座目の百名山: 荒島岳

登山口に辿り着いた前回のブログから引き続き、荒島岳登山編です。

朝5時半に起床し車の外に出てみると、快晴予報のはずなのに何故か曇天。前夜の星空はなんだったのか。そんなはずは…と思いながらも内心落胆しつつ、出発の準備を急ぎました。元々停まっていた車に加えて続々と車が到着しており、「ここ登山口ですよね?分かりづらくて駅のほうまで行っちゃいました」と声をかけられたりしました。確かに本線から登山口への分岐は標識が一切なく非常に分かりづらいです。曇天でげんなりしたからかあまり食欲が湧きませんでしたが、食べないと力が出ないので買ったおにぎりをなんとか食べて6時過ぎに登山開始です。

曇天・・・。
登山開始して少ししてから撮った写真。急坂を登ります。遠くの駐車場にぽつんと俺の車が。

晴れろ、晴れろ!と心の中で唱えながら歩いていると、徐々に雲が晴れていき青空が顔を覗かせ始めました。

東雲?
東雲ってこういう時間帯の空を指すのだろうか。

霧散霧消
歩けば歩くほど雲が消えていきます。まさしく霧散霧消。

今回選んだ勝原コースはもともとスキー場で、リフトの跡地が地図上に載っていました。跡地に辿り着くと、何故かそこには登山口の標識が…。

登山口?
荒島岳登山口だと…?

時刻は6:40分前くらい。ちょうど30分くらい歩いているのですが、ここまで歩いた30分間の道は登山道ではなかったのだろうか。登山口(?)からさらに30分くらい歩くと、そこには『白山ベンチ』と呼ばれる場所がありました。名前の通り白山が目の前に見え、まだ雲が少しありましたが冠雪した白山をばっちり視認できました。

標識
白山ベンチ標識。

木々の間から覗く白山
白山、冠雪した姿はまるで生クリームのよう。

そう、荒島岳は白山から程近くにあり、2016年に白山に登った時も近くを通過したので登ろうとしたのですが悪天候で断念し旅の先を急いだのでした。今回は2016年に登れなかった荒島岳へのリベンジ登山とも言える登山で、2年振りに白山の山と高原地図を引っ張り出してきました。

白山ベンチ以降は階段状の登山道をどんどん登っていきますが、美しいブナ林が続きます。この辺の雰囲気は四国の竜王山と似ている気がしましたが、単純に季節的なものかもしれません。紅葉と快晴が重なってかなり清々しい朝となりました。白山を眺めたり森林ウォークを楽しんだり、これだから登山はやめられません。

ブナ林其の一

ブナ林其の二

そんなブナ林を登りつめると他の登山口への分岐点に到達します。特に急いで歩いていたわけではありませんが、コースタイムよりも30分縮めての到着でした。基本的に朝はあまり力が出ませんが天気が良い日は自然と足も速まります。

道標
もちろん山頂方面に向かいます。

山頂方面に向かって歩いていると、『もちがかべ』と呼ばれる鎖場もある急坂に突入しました。とはいえ大して難しい箇所があったわけではなく、それよりもこの辺りから見る白山が最高でした。雪山に入りたいかというと寒いのが苦手な自分としてはあまり惹かれませんが、違う山から雪山を眺めるのは実に良いものです。

白山連峰
左側の一番高い山が白山、右は別山。

このまま歩き続け、前荒島岳と呼ばれる場所から一気に視界が開けて稜線歩きを楽しめます。

荒島岳現る
左奥の一番高い山が荒島岳。もうあとわずかの距離です。

412M
山頂まで412M(細かい)!ちょうど矢印で山頂を指しているみたいな写真になりました。

そして8時半前、山頂到着です。

到着!

地図にも書いてありましたが、山頂からは360度の展望でした。が、かなり寒い。上着を着て広い山頂を散策しました。見晴らしの良い山の頂上で見かける表示盤?(今調べたら『山座同定盤』というらしい)があり、特に登ったことのある山々はこれで認識できました。白山ももちろん見えましたが、笹が視界下部を遮るので山頂より少し標高が低い場所から見たほうが綺麗に見えました。

山座同定盤

山座同定盤によると荒島岳山頂は北アルプスから中央アルプス、南アルプス、さらには日本海まで見えるというなんとも凄い場所です。そんなに近いとは思っていませんでしたが、北アルプスの山々がはっきりそれと分かるくらいばっちり見えました。いつもは北アルプスの東側から見ているので、西側からだと山の位置がいつもと逆です。

パノラマ写真

上の写真の角度から登ったことのある多くの山々が確認できました。雲と太陽光で隠れていますが右のほうには恵那山も見えていたようです。写真左から右方向に見えていた山々をピックアップしていきます。

白山

山頂からの白山連峰

槍穂高

槍穂高!

中央アルプス

中央アルプス

恵那山

恵那山

他、まだ登ったことのない山としては乗鞍岳や御嶽山もばっちり見えていました。さらに他の角度の景色もまた素晴らしい眺望でした。

街並みが美しい
街並みがバッチリ見えます。まっすぐ先には日本海があるようです。

見事な雲海
雲海も綺麗です。

景色を堪能して食事も済ませたので、下山です。この時点で登りも下りもすれ違いは0名。完全にひとりきりの山を満喫できました。

下山開始してすぐに一人登ってくる人とすれ違い、挨拶してそのまま下っていったのですが、ふと山頂で動画を撮っていないことを思い出しました。最近は特に景色の良い山頂などからは動画を撮るようにしており、登り返しても5分くらいなので後悔しないようもう一度山頂まで行くことにしました。

山頂には先ほどすれ違った方がおり、どうやら朝「ここ登山口ですよね?」と聞いてきた方だったようです。動画を撮り終え、改めて下山開始です。思っていたよりも早く下山できそうなので、そのまま戻るのではなく『小荒島岳』に立ち寄っていくことにしました。小荒島岳は下の地図の分岐を中出登山口方面に舵を切り、20分歩いたところにあるピークです。地図によると荒島岳の迫力ある眺望が楽しめるとのことで、次いつ来るかわからない(しかもこんな快晴で)のでこのチャンスを逃す手はありません。

地図

そしてあっという間に小荒島岳に到着。地図に書いてあるとおり眺望が楽しめました。

荒島岳どーん!
目の前にはさっきまでいた荒島岳。

少ししたら荒島岳の山頂で会った人も到着。山頂で「せっかくなので小荒島岳にも寄っていく」と話したので彼もここに来る気になったのかもしれません。小荒島岳で少し休憩し、あとは一気に下山。ブログ冒頭で載せた写真と同じ場所で改めて写真を撮って比較してみると、天気の差に驚きます。朝の曇天はなんだったのだろうか。

快晴

そして下はこのときのログ。小荒島岳に寄るのは突発的に決めたので、ログは登りしか取っていません。せっかくだから帰りも取っておけばよかった…。

ログ

荒島岳登山が終わっても、旅はまだまだ終わりません。翌日も各地が晴れ予報だったので山旅を続けます。この時点で次に行くのは雨飾山にしようと考えていましたが、少し距離はあるけれどより予報の良い苗場山にしようか迷っていました。いずれにせよ日本海側に出てから日本海沿いを走るので、途中までは同じ経路。まずは日本海方面に向かう道中にある日帰り温泉を探しました。結果行くことに決めたのは『白峰温泉総湯』。勝原コースの登山口から1時間弱の距離です。

到着した総湯のあるエリアがなんとも渋い雰囲気!!なんだろうと思っていたら、なんでもこのエリアは『重要伝統的建造物群保存地区』に国より指定されているらしく、どうりで建物が渋いわけです。

渋い・・・。

建物内もかなり渋く、大満足でした。長湯+長居したかったものの雨飾山にしろ苗場山にしろ結構距離があるので、名残惜しみながらも先を急ぐことにしました。

石川県に入り、途中金沢のスーパーで食材を買いこみ、そのまま富山県を経て新潟県に突入。新潟県で親不知の海岸付近を通過したときは自分史上最も過酷な山だった上高地から日本海への旅を思い出し胸が熱くなりました。海岸に寄ろうと一瞬思いましたが、既に暗くなり始めていたので先を急ぐことにしました。このあとも左手に日本海がある道を進みましたが真っ暗で海は全く見えませんでした(残念)。

雨飾山に行く場合はこの分岐を右に、という場所まで来た時点で雨飾山と苗場山の天気を比較してみると一日中快晴とされていたのは苗場山の方でした。この時点で時刻は20時前。雨飾山の麓までは1時間くらいですが、苗場山の登山口までは3時間近くかかります。翌日の天候を優先するか、この日の残りの運転時間を優先するか、非常に悩みましたが天候は何事にも変えがたいということで翌日は苗場山に登ることにしました。

苗場山は群馬県側と長野県側の2方向に登山口があり、関東からアクセスが良いのは群馬県側ですがこの時点で新潟県にいた俺は長野県側の方が断然アクセスが良いので長野県側の小赤沢コースで登ることとしました。このコースは三合目まで車でアプローチすることが可能で、三合目の駐車場は50台駐車可能でトイレもあるということだったのでこの日のうちに登山口まで行くことに決めました。

秋山郷という地名はなんとなく聞いたことがありましたが、それが長野県にあり苗場山の登山口が秋山郷の中にあるというのはこの日地図を見ていて初めて気付いたことでした。秋山郷に達する国道405号線は「本当にこれは国道か」というくらい山の中を走っており、例の如く真夜中の山中のドライブはかなりの恐怖でした。さらに三合目の登山口までは上野原林道という一般車も通れる林道を走るのですが、ここがさらなる恐怖。街灯などもちろんなく23時を過ぎた真っ暗な森の中をひたすら走ります。

記憶だと0時になるかならないかくらいの時間にようやく三合目の駐車場に到着。金曜の夜だったことと百名山に選定されている山ということで車が停まっていることを期待していたのですが、まさかの0台!!ここにも街灯がなく、さらに携帯が圏外ということが重なって越前三ノ峰に登った時の恐怖を思い出しました。

ただ、当時よりは度胸がついたのか、はたまた単純に登山口での車中泊に慣れたのか、以前ほど恐怖心はなく「まあ朝になれば他の車も来るだろう」くらいの気分でした。あまり楽しむ余裕はありませんでしたがこの日も満天の星空で、翌日も晴れそうな予感がありました。食事を済ませたらすぐに寝る準備をして就寝。以前より慣れたとはいえ真っ暗闇の中トイレに行くのだけは避けたかったので『頼むから朝までもってくれ』とこれだけは自分の身体に言い聞かせてから寝ました。

続く→

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