月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり───
おくのほそ道の冒頭の文です。過ぎていく時間が旅人だとしたら、おそらく人それぞれの生き方が旅そのものであり、パッとしない毎日を過ごすというのは旅人につまらない旅をさせるようなものだと思う。それが仕事であれプライベートであれなんであれ、日々訪れる選択の結果が今であり、生き方という旅を計画するのは自分自身に他ならないわけである。
───昨年のお盆の旅の記録をつけた際、充実した旅を振り返ってブログの冒頭で上記の文章を書きました。今年のお盆の旅もまた非常に充実しており、今年もっとも内容の濃い旅を挙げるとしたら間違いなくこのお盆の飛騨・北信越の旅です。参加メンバーが全員揃ったこのDAY 3こそが旅の出発点。2020年の山の日にあたる8月10日に全員集合して充実した内容の山行を実施できたのもまた、何かの縁なのかもしれません。前回のブログから引き続き、飛騨・北信越の旅DAY 3。ついにメンバーが全員揃ったところでメンバーの紹介をしておきたいと思う。
チーム紹介
この旅でも特に印象に残っている山、焼岳登山編の幕開けです。
8月10日(月)DAY 3
この日は3時台に起床、支度をして4時前後に出発し、5時前後に焼岳の登山口に到着しました。車は俺と先生、I氏とOGTという組み合わせです。お盆だからかこの時間でも駐車場はほぼ満車で、少し離れた位置に一台ずつ停めることができました。この日の予報を改めて確認すると、曇りのち晴れで9時から12時あたりが晴れていそう。5時過ぎに出発するとコースタイム的には予報で晴れるとされる時刻よりもかなり早く着いてしまいそうだったので、みんなで相談し出発を6時とすることに決めました。それまでは朝食を摂ったり仮眠したりとそれぞれの時間を過ごします。その間も車がどんどん到着し、凄まじい数になっていきました。そして6時。まだあたりは曇りでしたが9時くらいに晴れることを信じて登山を開始します。登山開始すぐは樹林帯の中を進み、1時間程度歩いたところで広場という名前のとおり開けた場所に到着します。遠くには焼岳が見えていると思われましたが、全貌が見えません。
時刻は7時15分前後。まだ天気は曇りで前日の蓼科山と似たような雰囲気。この時点ではまったく晴れる気配はありませんでした。振り返ればそこには霞沢岳がありますが雲で半分隠れています。
そして登ったことのあるはずのOGTは登山道も景色もまったく覚えていないという。この際初めて登ったことにしたらどうなのか、なんて話をしながら先に進みます。
徐々に近づいていきますが、一向に晴れません。道中、「B’zの曲で、公園のベンチでアイスクリームを食べてる人が好き、みたいな歌詞の曲があったはずだが思い出せない」とOGTが唐突に問いを投げかける。全く思い出せないので検索してみたところこの曲の正体はLADY NAVIGATION。アイスクリームではなくソフトクリームでした。以降、この旅ではこの曲のこの部分をひたすら歌うことになります(主に俺が)。そして火口の外輪に近付くにつれ、ガスはどんどん濃くなっていきます。
焼岳には南峰と北峰とあり、南峰は立ち入り禁止で北峰に登ることになります。そして8時10分ごろ山頂に到着。あたりはガスで覆われており全く展望はありませんでした。
77座目、笑顔で撮影です。でも絶景を拝みたい!まだ予報で晴れるとされる9時よりもかなり前、食事を摂りながら天気待ちします。徐々に人も増えていき、みんなそれぞれの時間を過ごしていました。そして待つこと30分、8時40分ごろ。大人たちの歓声とともにみんな一方向に移動していきました。何事かとその方向を見てみると・・・
ガスが晴れてきた!登りはじめから山頂までガスっていたので喜びもひとしお。さらに言えば前日のガスった蓼科山も含めてこの景色へのお膳立てだったとさえも思えます。
この時点では西側が晴れており東側はまだガスの中でした。が、この日は相当天気運に恵まれていたのか、さらに20分くらい待っていたら穂高などのある東側のガスも晴れていきます。
本当は目の前に穂高連峰がばん!と見えているはずですが、これはこの日は最後まで隠れたままでした。また見に来いと、そういうことかもしれません。それでも上高地のほうまでばっちり見えていました。
写真中央右側にあるのがバスターミナル。過去にここから日本海まで歩いたと思うとよくやったな自分と思う。ひとしきり景色を堪能したら下山開始です。時刻は9時半。1時間半近く山頂に滞在しました。焼岳はそこらじゅうから硫黄臭漂う煙が噴出しており、生きている山というのをひしひしと感じます。
さて、少し下ると正面に南峰が見えてきますが、登りと下りであまりにも景色が違いすぎる。
南峰と北峰の鞍部では登りではかすかにしか見えなかったエメラルドグリーンの正賀池がばっちり見えていました。同じ池を見ているだけなのに登りと下りでぜんぜん雰囲気が違います。
ここではせっかくなのでグループ写真を撮ってもらうことにしました。妙にのりのいい人だった記憶がありますが、それはこの山だっただろうか・・・?
登りで見られなかったので「こういう景色だったのか!」と4人とも感動しながら周りを見渡しながらしばらくこの場所に滞在しました。
ひととおり景色を堪能したら本格的に下山開始。下山する方面を見てみると・・・
登ってきた道であり、これから下る道。2時間足らずでここまで景色に差が出るものかと本当に驚きました。
下りながら見える景色もまた最高で、登りでは半分隠れていた霞沢岳も圧倒的な存在感で目の前に鎮座していました。道中、前穂高岳~明神岳も目の前に見えていました。
少し歩いたらすぐに広場に戻ってきます。ここからの景色もまた、冒頭でアップしたものとは全く違う景色でした。
登りで見上げた際は右側の頂点が山頂だと思っていましたが、実は山頂はこの角度だと隠れておりもっと奥にありました。左側は立ち入り禁止の南峰です。
5分程度休憩したらすぐに下山再開。そして11時半に駐車場に帰還。登り始めはどうなることかと思いましたが、結果的には大満足、感動の77座目の百名山登山となりました。奇しくもこの日は山の日。思い出に残る山の日になったことは間違いありません。
旅はまだまだ終わらない。
続く→
4件のコメント