突発的に決まった11月17日(日)の筑波山登山。
事の発端は9月まで遡ります。トロント時代の友人Sさん(男性、巨漢)から「久々に会わないか」という連絡が入り、10月は山に行きたいので11月以降を希望したところ「初心者でも行ける山があれば連れて行ってほしい」と依頼される。この時期は自分の山に集中したかったのでとりあえずSさんとの登山計画は保留にして2ヶ月が過ぎます。
そして11月13日(水)。燕岳をもって自分の中で2019年の山はほぼ終了したので、「一区切りついたので山に行かないか」とこちらから声をかけます。11月16日、17日なら空いているという返答で、16日はちょうど謎解きが入ったばかりだったので17日に山に行くことに決まります。この週末は各地の予報が晴れで、自分の中ではアクセスも良く程よい登りごたえの筑波山に最初からほぼ決めていました。いろいろと調べてみるとこの時期の筑波山は例年であれば紅葉がドンピシャの時期らしく、混雑が予想されました。相談のうえ、もともと朝8時で考えていた待ち合わせ時刻を7時半に前倒し。結果的にこれがかなり効果的でした。
Sさんと会うのは2018年6月以来です。まずはグループ山行記録恒例のメンバー紹介をしたいと思います。
チーム紹介
それでは早速筑波山の山行を振り返っていきます。
山より団子:11月17日(日)
予定通り7時半にSさんと駅で合流。Sさんの家からよりもうちからのほうが筑波山に近いので、電車で俺の最寄の駅まで来てもらったのでした。筑波山へは車で向かいます。近くのコンビニで朝食を購入し、すぐに高速へ。この日は家の周りも大快晴でしたが気温が低く、朝の時点では厚着に加えて車内の暖房全開。ワイワイ話していたらあっという間に降りる予定だった土浦北ICに到着しました。コンビニにもう一度立ち寄り、すぐにまた出発。この時点ですでに結構気温が上がっていました。寒暖差が激しい。まだあまり交通量がなかったので山も混んでないのではと予想しましたが、見事すぎるくらいに裏切られることになります。燕岳のときもそうでしたが、紅葉の時期の週末の山は基本的に混んでいる想定でいたほうがいいのかもしれません。
前回筑波山に登ったときの記憶を頼りに、筑波山の登山口がある筑波山神社に向かいます。道中、どこをどう曲がったのか明らかに通常は選ばないであろう鬼細い民家の脇で傾斜が45度くらいありそうな坂を登っていく。車で登ることも辛いこの道に住んでいる人たちは普段どうやって生活しているのか…。何箇所かで交通整理をする予定?の人が立っていたので、この日はもしかして大混雑が予想されているのではないかと、そんなことを考えながら神社方面に向かいます。
わけのわからない道をどんどん進み、「俺たちは筑波山神社にたどり着くのか」と不安になったあたりで大きな道に合流。いつの間にやらプチ渋滞が発生していました。少しして筑波山神社周辺にたどり着くと電光掲示板にはほとんどの駐車場に「満」の赤い字が点灯している。唯一空いているのが第2駐車場だったので、迷わずそこに向かいました。より登山口に近い駐車場に突っ込んだところで、この時間に出て行く車がいるとは思えませんでした。
第2駐車場はまだ比較的すいており、余裕で駐車できました。準備を整え、早速出発です。
実はこの日、ある思い入れのある山道具を車に積んでいました。それは多くの山をともに登ったHAGLOFSのROC LEGEND、登山靴です。ソールが近い将来剥がれそうなのに加えて、繰り返し履き続けたことにより右のアンクルパッドがつぶれて足を靴に入れられなくなったので手放す予定でいました。
思い入れもありどうも捨てる気になれず、筑波山前日に試しに靴べらを使ってみたところすんなり足が靴に入る。ただ、これだと一度脱いだら手元に靴べらがない限り履けないので日帰り登山で下山時にしか靴を脱がない場合くらいしか使えませんが、ちょうど翌日はそんな日帰り登山を予定している。しかも一度登った山で内容はだいたい把握しているので、これを最後にという思いで車に積んでいたのでした。
この日はそんな思い入れのある靴を履いての登山です。第2駐車場は筑波山神社から結構離れており、調べたところその距離は1.4kmでした。登山口までは車道の脇を通っていきますが、意外とアップダウンがある。運動不足なSさんは「これが登山か」などとうそぶいていましたが、もちろん登山は始まってもいません。どう考えても駐車場が空いていないのにかなりの車が神社方面に向かっており、山の中も混雑するのだろうなと予測していました。
久々に来る筑波山神社の大きな鳥居、ここにも交通整理のおじさんが立っていました。やはり道中見かけた方々も交通整理のためだと思われます。鳥居をくぐり筑波山神社の拝殿脇にある登山口に到着したのは9時40分くらいでした。Sさんとの初登山、いよいよ開始です。
前回同様、登りは御幸ヶ原コース、くだりは白雲橋コースです。前回のログを載せておきます。
千葉県みたいな形のログです。距離5.3km、累計高度は上下とも約710m。運動不足気味のSさんにはきつい内容かもしれませんが、今後別の山にも登る場合筑波山はちょうどいい入り口だと思います。
ログのとおり、最初はゆるやかな登り坂が続きます。思ったよりも、というよりも全然紅葉しておらず、木々はまだ緑色。この時期で緑色なら紅葉せずにそのまま散っていくのではないだろうか。夏と秋の寒暖差が激しいほど綺麗に紅葉すると聞いたことがありますが、今年は暖冬と言われているくらいなので寒暖差があまりないのかもしれません。
11月中旬なのに子供も大人も半袖です。蛇足ですがこの子達はおそらくカブスカウト。まだ日本にいた小学校のころ俺もやっていたな、と懐かしく思い出していました。当時の自分が筑波山を楽しく登れたとは思えませんが…。
元気なカブスカウトの隊員たちがいる一方で、我らがSさんはフラフラです。思った以上に運動不足!小休止を大量にはさみながら徐々に登っていきます。本人曰く(Sさん自身は)目は死んでいない10ラウンド目のボクサーらしい。おぉカッコいい…の…か?
この日は11月にしては気温が高かったものの前回登った5月よりは遥かにましで、かなり気持ちの良い森林浴を楽しめました。前回ほど、というより今回はまったくと言っていいほど虫がおらず快適に登れます。
「知り合ったころは20歳そこそこだったのにもうお互い今年32か」みたいな話をしていたら、目の前を歩いているおじいさんが振り返り「今年70ですよ」と告げる。俺らの年齢合わせても足りないじゃん!と、32歳で嘆いたことを猛省。そういえば雨飾山で会った方も70歳。このまま時代が進めば「もうお互い70か」「自分は今年140になりますよ」みたいなことになるのだろうか…。
登山道には何箇所か土嚢が積んである箇所があり、また最近倒れたように見える木々が点在していました。どうやら台風19号の影響で倒木が登山道をふさいでしまい、10月末まで御幸ヶ原コースの登山道は通行止めだったようです。以前調べたところ筑波山以外にも甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根なども台風の被害を受けたようで、あの台風が各地に残した爪あとは本当に大きい。
さて、ゆっくりと登り11時前に御幸ヶ原に到着。絶好の登山日和で遠方まで見渡せました。驚いたのはロープウェイに並ぶ長蛇の列。
奥のほうにごちゃごちゃと密集している人たちは全員並んでいる人たちです。さすが大人気の山、筑波山。
そんな筑波山は男体山と女体山のふたつのピークからなる双耳峰。少しだけ休憩し、まずは近くの男体山に向かいます。男体山の山頂には15分程度で到着。山頂で参拝を済ませたSさんを見届け、すぐに御幸ヶ原に戻ります。景色的には女体山側からのほうが楽しめるので、この日のメインは女体山です。
そこまで長い行程ではないとはいえ、朝コンビニで適当な朝ごはんを食べたのみだったので二人とも腹ペコ。前回は何も食べずにスルーしましたが、このときは筑波山名物らしい「焼きだんご(特製くるみ味噌だれ)」をいただきました。これが思いのほか旨い!!体中にエネルギーが満ち溢れました。
御幸ヶ原での休憩はまだ続きます。Sさんがお土産を買っている間に、俺は展望台へ。この日は天気は抜群に良かったのですが湿度が高かったのか空は少し霞んでおり、遠くの山脈は肉眼では見えるけど写真には写らない程度にぼやけていました。せっかくなので入れたばかりのアプリ『Peak Finder』を使ってみると、どうやら日光方面の山々が遠方に見えていたようです。
かすかに見える山脈の中でも男体山は結構目立っていました。背を向けた反対側にはかなり遠くにスカイツリーも見えていましたが、あまりにも小さくI氏の一眼レフでもないと写せない。Sさん曰く「あれはかりんとう」とのこと。
さて、そろそろ女体山に向けて出発です。まずはお土産屋さんの横を通過します。こういう観光地的な雑多な雰囲気は嫌いではありません。
女体山の山頂まではここから20分程度です。御幸ヶ原から見て標高差は男体山と同じくらいですが、女体山側のほうが傾斜が緩やかなのでかなり楽に登れます。女体山の基部はほかのいくつかの登山道から来る人たちやロープウェイの駅から歩いてくる人たちが合流するからか、ものすごい人混みでした。人混みを掻き分け、なんとか山頂に至る。
白雲橋コースから登ってくるとほぼ自動的に橋を渡ることになり、橋の先に山頂を示す標柱があるので写真待ちの行列になっているようでした。どれだけ待つか検討もつかなかったので、標柱前での写真は断念しそのまま景色のいい位置まで移動しました。
10分くらい滞在しましたが、その間にもどんどん人が増えていき山頂はとんでもないことに。
げんなりするくらいの人の数です。あの10分弱が山頂で少しはゆっくりできるラストチャンスだったのかもしれません。
※※※
さて、下山です。前回同様白雲橋コースを下っていきますが、天浮橋の行列はそのまま白雲橋コースに続いておりとんでもなく長い。最後尾に至ったのはかなり下ってからでした。
某ねずみのキャラクターのテーマパークですかここは。ファストパスが必要です。並ぶのはあくまでも写真を撮るためであって「標柱で写真を撮らない人は並ぶ必要がない」はずなのですが、おそらくこのことに誰も気づいていないのであんなことになっていたのだと思います。我々のようにただ単に山頂を踏むだけであれば並ぶ必要はありません。が、山頂のあの人混みを考えるとそもそも山頂に立つためだけでも並ぶ必要がでていたかもしれませんが…。
朝の集合時間を30分早めて7時半にし、さらにコースも前回と同じく男体山側から入る設定にして大正解でした。この先は「母の胎内くぐり」や「出船入船」など奇岩を楽しみながらゆるやかな坂を下っていきます。
さて、さらに先へ進むと、筑波山神社とロープウェイ駅への分岐点が現れます。広場のようなスペースで休憩できるようになっていました。なぜかここだけ綺麗な紅葉になっており、筑波山で一番紅葉を楽しめたのはこの場所だったことに間違いありません。
ここから先、傾斜が結構きつくなります。この日は細かい休憩を重ねながらの登山だったのでひざへの影響は少なかったのですが、最後のほうは右膝が少しだけ痛くなっていました。熊…もといSさんも脚に結構きていたようです。何でも「子供たちが登ってくると緊張した」らしく、その理由は「自分が転んで子供を巻き込んだら大惨事になるから」とのことでしたが…いや俺を巻き込んでも間違いなく受け止められんぞ!!
※※※
そのまま下山を続けて、なんとも懐かしい昭和な雰囲気のお食事処を通過したら筑波山神社です。
時刻は13時半。かなり楽しく歩けたので大満足です。どうやらまだHAGLOFSの靴も日帰り登山であれば十分に使用できるようで、個人的には大変嬉しい現役復帰です。
舗装された道を駐車場に向けて歩いていると、この時間でもまだ大量の車が押し寄せてきていました。(あの登山道の行列にこの車の人たちが全員突っ込んだらとんでもないことになるな…)と思いつつ、そんな行列・渋滞を全て回避できてほっと胸をなでおろす。
我々が彼らにしてあげられることは、駐車場を早いところあけてあげること。だんごのエネルギーはとっくに使い果たしていたので腹ペコでしたが、とりあえずは筑波山のエリアから離れることにしました。
このあとの行動を相談し、決めたのは『近くの温泉に立ち寄り、その後宇都宮に移動して餃子を食べる』というプラン。よく自分の山の話をする仲間たちからしたら「いつものプランじゃん!」ということになるかもしれませんが、
の破壊力はそれぞれを単体として扱ったときの何十倍、何百倍の威力にも相当するのです(当社比)。…と、いうことでまず向かったのは筑波山神社から車で20分程度の位置にある『あけの元気館』です。
あけの元気館(公式サイト)
https://akenogenkikan.com/
到着したあけの元気館は思った以上に駐車場がうまっていましたが何とか停めることができました。温泉に加えてプール、トレーニングルーム、デイサービス、保健センターなども兼ねた施設で、民間の施設というより図書館のような公共施設みたいな印象を受けました。露天風呂もついていてプール、トレーニングルームも使えて700円は良心的です。Sさんにトレーニングルームに行くことを勧めましたが一蹴されました。
温泉では話好きなおじいちゃんに話しかけられ、その後も福島から来たというおじさんに話しかけられる。俺は風呂で話しかけやすいオーラでも出しているのだろうか。この施設で印象的だったのは、この地区の方々が描いた絵の中でこの山の絵が飾られていたこと。
妙義山!!破線だらけの表妙義をI氏と突破したのは今年の3月。今年行った山の中でもダントツで危ない山でした。
施設内で少し休憩したら宇都宮に向けて出発。温泉を出たのは15時でした。高速を使用してもほとんど所要時間が変わらなかったので下道で向かいます。
ナビでは1時間と出ていましたが、結果的に目的地にたどり着き餃子にありつけたのは16時半くらいでした。今回向かったのは、今年5月の那須岳登山の際にも立ち寄った『来らっせ』。
来らっせ(公式ページ)
http://www.gyozakai.com/society/kirasse.html
ここは個人的には『餃子のテーマパーク』だと思っており、何度来ても最高に楽しい。願わくば次回は電車で来てビールを飲みながら餃子を堪能したい…。
この日は調子に乗って5皿も食べて腹がはちきれんばかりになりました。頼んだ内容としてはこんな感じです。
こうらん やきぎょうざ | 260G |
めんめん ゆでぎょうざ | 430G |
みんみん やきぎょうざ | 300G |
こうらん ゆでぎょうざ | 420G |
さつき やきぎょうざ | 280G |
※参考レート:1ゴールド=1円
お互い餃子をたらふく食べたら、ついに帰途に就きます。ここからも下道を使用します。ひたすら国道4号線を南下し、Sさんが帰りやすいJR浅草橋駅まで送ります。
道中、「なぜ地方の幹線道路は風景も店舗も似たり寄ったりなのか」という話題で盛り上がる。ステーキ屋さんとか大手家電量販店とか、ファミレスとか、どこの都道府県でもなぜか風景が同じ。結局、なんだかんだ東京が最強だ、という話でまとまったあたりで、東京都足立区に突入。唐突にビル群が増えたので、「さっきまで自然の中にいたのにこれだから東京は嘆かわしい」と手のひらを返す。
結局東京はどうなんだという話ですが、文句言ってるのも含めて東京が好きということだと思うんですよね。特撮作品にしても、本当に好きじゃない作品は文句も何も話題にすら出さないわけで、ひたすら仲間と文句ばかり言い合う作品が実は自分がかなり気に入っている作品というのはよくある話なわけです。
と、脱線しました。足立区に入れば浅草橋駅はすぐそこ。濃い一日もSさんを浅草橋で降ろした時点で終了です。Sさんにとっての初茨城&初栃木はいかがでしたでしょうか。個人的には山も温泉も餃子も当たりで最高に楽しい一日でした。
自分の中では前日の謎解きとセットで完結した充電の旅第四弾。季節的にもう当面山に行くことはないかな、と思っていたのですが数日後に長野に向けて出発することになります。
充電の旅第五弾・浅間山編に続く───
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